おとうさん。おはよう。

  今年も。やって、来ましたよ。土用の丑の日ですよ。

   暦どおり、暑いですねえ。おとうさん。

  こんな日は。買い物に出ず。

   家に、あるもので。そう。考えて、しまいますよねえ。おとうさん。

  今は。お店も、近いし。すぐに、なんでも。手に入るように、なったんだけど。

   子ども達が、小さかった頃は。たいへん、だったよねえ。

  だから、なるべく。あるもので。だったよね。

  「アイスクリームが、欲しいなあ。」って、思っても。

  「はい、どうぞ。」って。

   言う、訳にも。いかなくてね。

  そんな時、だったんだよね。おとうさんに。教えて、もらったのは。

  「わしが、まだ。学校に、行く前じゃ。」

  「うちの、親父が。町まで、行く。ゆうたら。」

  「ついて、行っとったことが。あるんじゃ。」

  「夏んなったら、城山の、下んとこで。」

  「アイスクリーム、ちゅうのんを。買うて、もろうてのう。」

  「うまかったんじゃ。」

  「大けな。樽のような、もんの中から。すくって、のう。」

  「ウエハウスの。とんがった、やつに。入れて、くれたんじゃ。」いうて。

  懐かしがって、いたかと。思ったら。

  「これは。アイスクリーム、作る。道具じゃ。」いうて。

   クマの形をした。入れ物を。買って、きたんだよね。

  わたしは。電動式で。スイッチ、ポンかと。思ってたら。

   全然。ちがって、いたんだよねえ。おとうさん。

  「子どもらにも。くわせて、やりたいんじゃ。」いうてね。

  「牛乳と、タマゴと。砂糖を、入れて。よう、まぜて。」

  「ちょっと、火を、とおして。」

  「冷凍庫に、いれて。」

  「時々、まぜたら、ええんじゃ。」

  「アイスクリームいうても。シャリシャリ、しとってのう。」

  「いま。売ってる、もんほど。あもう、ないんじゃけど。」

  「うまいんじゃで。」いうてね。

   あの、昔懐かしい、アイスクリームを。

     みんなで、つくったんだよね。おとうさん。

  この、話には。落ちが、あるんだよね。おとうさん。

   あの、クマさんは。アイスキャンデー作りの、ものだったんだよね。

   氷を、入れて。割り箸たてて、ってね。

   アイスクリームは。バットに、流して。作ったから。

    問題は。なかったん、だけどね。

  そうそう、後日。みんなで。アイスキャンデーも。作ったんだよね。

    ねえ。おとうさん。