おとうさん。おとうさんは。わたしの、電話の中で。

   まだ、まだ。しっかり、生きて。いるんだよねえ。おとうさん。

   電話に、出た知人が、ねえ。

   「あれ。これ、おとうさんの、番号では。」って。

   「はい。これ。おとうさんの、番号ですよ。」って、答えると。

   ビックリ、されてね。

  それから。おとうさんの、話で。もりあがって。

   『おとうさんは。あの世です。』って。答えると。

   やっぱり。なおさら、ビックリ、されるんだけどね。おとうさん。

  あの時。

  「おかん。おとんの、電話。どうする。」って、言われてね。

  「残したいよねえ。」って、言った時。

  あんな。奇跡の、ようなことが。おこったん、だよね。

  おとうさんの、電話と、私の電話が。

   買った時に。お店の人の、手違いで。入れ替わって、いたんだよね。

  料金の、支払いなんかで。いろいろ、面倒なことも、あったけど。

   「いいよ、いいよ。」って。お店の人には。言ってね。

  それが、幸を得て。あの時。

   わたしが、望めば。わたしの、持っている。

    おとうさんの、番号は。生きて。

   わたしの、番号は。消えると、いうことに。なったんだよね。おとうさん。

  あの時。迷わず。わたしの、選択は。

   おとうさんの、番号を。残す、ことに。したんだよね。おとうさん。

  あれも。今、思えば。神様の。ちょっとした。イタズラ、だったのかなあ。

   起こりえない、ようなことが。起こったん、だものね。

  そんな、神様の、お陰で。

   いまでも。こうして。おとうさんと、繋がって、いられてね。

  時々、入ってくる。おとうさんへの、電話に。ビックリし。

   おとうさんの、昔話に。はなをさかせる、ことも。できるんだよね。

  ちょっとした。神様の、イタズラだと、思ってたことが。

   気が付けば。実は、それは。

    神様の。いきな、計らい。だったったと。言うこと、なんだよね。

     ねえ。おとうさん。