おとうさん。おはよう。

  お水を、コップ、いっぱい。おとうさんも。コップ、いっぱい。

   朝から、仲良く。乾杯だよね。おとうさん。

   もうすぐ、七夕様だよ。おとうさん。

  短冊にかく、願い事も。大事なんだけど。

   おとうさんが、元気だった頃は。

   おとうさんが、興味の、あったのは。

    もっぱら。あの、お星さまの方。だったんだよね。

  「わしらが。学校、行っとった時は。」

  「星座盤いうのを。学校で、買うてのう。」

  「星の、べんきょうを、しとったんじゃ。」いうてね。

  知り合いの、文具屋さんから。星座盤を、買ってきて。

  「この、回転盤を、こうやってのう。」

  「日にちの、メモリと。時刻の、メモリを。うごかすんじゃ。」

  「そうじゃ、そうやって。」

  「そしたら。見たい。星の、位置が。わかるじゃろう。」言うてね。

   息子たちと、よく、やってたよねえ。おとうさん。

  そしてねえ。市営の。プラネタリウムを、見ることのできる。施設にも。

   二人を、つれて。よく、通っていたよねえ。

  それだけでは。事足りず。望遠鏡までね。買って、きたんだものね。

   まだ、よく、分りもしない、息子たちに。

    望遠鏡の、組み立てかたまで。教えてね。

   でもねえ。おとうさん。

   団地住まいの、時は。小学校の、運動場まで。行けば、よかったし。

    前に。大きな、公園も、あったから。よかったんだけどね。

   マンションの、ベランダでは、ねえ。

    前の、住宅だって。近いんだものねえ。

   なかなか、あの、望遠鏡。出番が、なくなって。しまったんだよね。

  田舎に、帰ったら。まだまだ、星は。

   手を、伸ばせば。届きそうに、思える位置に。あるんだけどね。

   今年は。あの、望遠鏡。持って、帰りましょうかねえ。おとうさん。

   探せば、あの、星座盤も。どっかに、あるだろうしね。

  星空ながめて。親子で、ワイワイ、やっていたら。

   おとうさんも。おいでよね。おとうさん。

  「いま。そこ、流れた星。あれ、おとうさんやで。」って。

    ねえ。おとうさん。