おとうさん。おはよう。

  きょうは、ひさしぶりに。「ホーホケキョ」で。目が覚めました。

   「晴れましたよ」って。いいたいのかなあ。ウグイスさんは。

   いやいや。『暑くなりますよ。』ですよねえ。おとうさん。

  暑くなると、外国では、サマータイムとか、なんとかって。あるんだけどね。

   むかし、ちょっとだけ。あったよねえ。田舎の、学校でも。

  そんな、ことより。夏になると。田舎では。映画会、だったよねえ。

   「あそこの、小学校の、石垣。」

   「あそこに。白い幕を、はって。映写機で。うつしとったんよ。」って。

   実家の、近くにある。小学校の、話を、すると。

   「わしらわなあ。中学校の、石垣じゃ。」

   「あそこに、白い幕を、はって。映しとったんじゃ。」いうてね。

   子供の時の、映画会の、話に。なるんだよね。

    「映画会いうても。」

    「げんとう、みたいな、もんじゃった。」

    「映っとるのは。今の、テレビの。ニュース、みたいなもんで。」

    「いっこも。おもしろ、なかったけど。」

    「ほじゃけど。見るもんがない、時代じゃもん。」

    「むしろを、敷いて。場所取りを。しとったんじゃ。」

    「うちは。畑が、忙しかったし。」   

    「ニワトリも、飼よったしのう。」

    「なかなか。見に、行かれんことも。あったんじゃ。」

    「終わったころ、行くことも。あったしのう。」

    「そじゃけど。ええことも。あったんじゃで。」

    「あの、機械なあ。」

    「あれを。見せて、もらうんじゃ。」

    「なんで。あんなもんで。うつるんか。」

    「声は。どっから、聞こえてくるんか。いうて、なあ。」

    「不思議に。思う、とったんじゃ。」

    「これは、なんじゃ。」

    「これは。いうて。聞くもんで。」

    「うるさ、がられたけど。」

    「ええ、勉強に。なったんじゃ。わしには、なあ。」

    「ほんで。いつか。わしも。作って、みたいと。思うたんじゃ。」

    「それで。工業高校に。行きた、かったんじゃ。」

    「そじゃけど。学校に、行けん、かったんじゃ。」

    「丁稚奉公に、いったけのう。」

    「ほじゃけど。あきらめきれん、かったんじゃ。」

    それで、おとうさんは。工業高校の、教科書を。もらって。

     自力で。頑張ったん、だよね。おとうさん。

   『あきらめん、かったら。なんとかなる。』ってね。

   おとうさんが、息子達に、残した。言葉だよね。おとうさん。

   「なりたい、ものが、あるんやったら。」

   「受けたい試験が、あるんやったら。勉強せえ。」

   「勉強しとったら。いつか。花が、さくけえ。」いうてね。おとうさん。

   おとうさんの、歩んで来た。道、そのものが。

   息子たちには、いい。お手本、なんだよね。おとうさん。

    「あきらめ、なければ。いつか。花咲く、ときがくる。」って。

     ねえ。おとうさん。