おとうさん。おはよう。

  日が長く、なったよねえ。きのうは。あんなに、遅くまで。日が暮れず。

   白夜月が、出ていたと。思ったら。

   きょうは。こんなに、早くから。夜が、明けるんだもの。

  「もうちょっと。寝かせといてよ」って。言いたく、なりますよ。

  若いと、思って、いたけれど・・・。

   『このぐらい、大丈夫』と、思ってた。戸棚の、移動。やっぱり、重かった。

   なんとか、なったものの。体が、あちこち。少々、痛いんだよね。

  なんでも、おとうさんと、一緒でね。

   「おい。こっち、持ってくれ。」って、いわれて。

   重い物を、持つときは。

   おとうさんの、支持どおりに。おとうさんと、一緒に。持って、いたからね。

   それが、どれほどの、ものか。

   ちっとも。分って、いなかったんだよね。わたしは。

  いつも。力は、半分こずつ。かけていたと、思ってたのに。

   ほんとうは。そうじゃあ、なかったんだよね。おとうさん。

   知らん顔して。

    おとうさんが、重くなるように。考えてくれて、いたんだよね。

  だから。息子が。心配して、くれたのに。

   「大丈夫、大丈夫。こんなもん。」

   「わたし一人で、大丈夫。」って。

   軽く、考えて。いたんだよね。おとうさん。

  まあ。今回の、戸棚移動で。いい、勉強に、なりましたよ。

   やたら、空元気は。するもんじゃあ、ないって。ことが、ねえ。

  それから。おとうさんの、有難さにも。

   あらためて。気づかされましたよ。おとうさん。

  『なんでも。半分こ』そう、思ってたのにね。

   本当は。そうじゃあ、なかったんだよね。おとうさん。

  たかが、ちょっとの。戸棚移動の、時だって。

   おとうさんは、わたしに。

   少しでも。負担が、かからないように。してくれて、いたんだよね。

  「そっち。もって、くれるか。」って、いわれて。

   なにげなく。言われた、方を。持って、いたんだけれど。

   わたしの、方が。軽かったんだって。

  改めて、そのことに。気づかされ、ましたよ。おとうさん。

   半分こじゃ。なかったん、だよね。おとうさん。

  半分こ、半分こって。なんでも。『半分こ』してたと、思ってたのにね。

 こんな、ささいな、ことだけど。

  『半分こ』には、ない。おとうさんの、優しさが。あったんだってね。

   ねえ。おとうさん。