おとうさん。いまは。アジサイが、奇麗なんだけど。

   あの、道端で、出会う。つゆ草も。雨に、ぬれると。きれいだよねえ。

   残念なのは。朝、「きれいだなあ。」って、思って、いたら。

    昼には。しぼんで、いるんだものね。

  そんな、ツユクサは。私たち、田舎の、子にとっては。

   いい、遊び道具でも。あったん、だよねえ。

  ツユクサは。もちろん。食べられるん、だけど。

   子供の時は、よく。ままごと遊びに。つかって、いたんだよね。

   あの、花を、しぼってね。

   『あおい、ジュースや。』いうて。

  だから。あの、青い色で。なんでも。

   染められる、ぐらいに。思って、いたんだもんね。わたしたちは。

  それで。あんな、失敗を。してしまったん、だよね。おとうさんは。

   「わしなあ。夏休みの、宿題に。」

   「絞り染め、しようと。思うたんじゃ。」

   「畑に、行ったら。」

   「ツユクサは。そこらへんに。いっぱい、あったけのう。」

   「これで、やったら、ええわ。思うたんじゃ。」

   「それで。ツユクサを。いっぱい、とって来て。」

   「染めたんじゃ。ハンカチをなあ。」

   「そじゃけど。糸を、はずして。水で、あろうたら。」

   「色が、落ちて。しもうたんじゃ。」

   「せっかく。こまこう、しぼっとったのに。」

   「あれは。大失敗、じゃったんじゃ。」ってね。

   思い出して。くやし、がってたけどね。おとうさん。

    ツユクサは、すぐに、色落ちするから。

     染物には。むかな、かったんだよね。

    そうとは、知らず。一生懸命。作ったんだ、もんね。おとうさんは。

   なにぶん。小学校の時の、話だもの。仕方ないよねえ。おとうさん。

  田舎は。あの頃は。

   まだまだ。薬も、すぐには。手に、入らない。ころだったから。

   暑い夏の、時期は。

   ツユクサを、干して。お風呂に。入れて、もらってね。

   『あせも対策』にも。つかって、いたんだよね。

    ツユクサ風呂に、入ってね。

     ねえ。おとうさん。