おとうさん。おはよう。

  きょうは。朝から、雨模様。出かけるのは、やめて。

   ホコリ高き、我が家の、ふき掃除と、いきますか。

  以前。ミカンを。買った時。一盛り、いくら。では、なくて。

   ひとバケツ、いくらで。売って、いたんだよね。

   水色の。かわいらしい。バケツ、なんだけど。

   お掃除、ようには。ちょうど、いいんだよねえ。おとうさん。

   水を、入れても。そんなに、重くないので。持ち運びにも、らくだしね。

   なにかと。重宝して、いるんだけどね。

  バケツと、言えば。おとうさん。

   あの。思い出したら。ふき、だしてしまう。あの、事件だよね。

  「学校で、なあ。」

  「掃除当番の、時。あの、バケツで。よう、遊んだんじゃ。」

  「水を、入れて。」

  「バケツの、柄をもって。まわすんじゃ。」

  「早う、まわしとる時は。遠心力が、働くけえ。水は。こぼれん。」

  「だれが。ぎょうさん。水、入れられるか。競争したことが、あるんじゃ。」

  「わしが。一番じゃ。」

  「そう。思うとったん、じゃけど。」

  「油断、しとったのが。わるかった。」

  「きゅうに。先生に、声かけられて。ビックリして、のう。」

  「水を。廊下に。ぶちまけて、しもうたんじゃ。」

  「早よ、ふけ。言うて。先生に、怒られたんじゃけど。」

  「掃除しとる、みんなは。大喜び、したんじゃ。」

  「スケートが。できるで。いうて。」

  「あのころ、学校で、はやってた。雑巾スケートや。」

  「水で、ベトベトの。雑巾の、上に乗って。すべるやつ。」

  「みんな。掃除、そっちのけで。廊下で。すべったんじゃ。」

  「あの時は。怒られたけど。」

  「ほんまに、おもしろ、かったんじゃ。」って。

   言ってたこと。あったよねえ。

  どこの子も、同じ。転んでも。ただでは、起きぬ。ものなんだよね。

   失敗を。遊びに、変えるのは。天才的、なんだよね。

     ねえ。おとうさん。