おとうさん。雨ですよ。

  わたしに。とっては。恵みの、雨に、なりましたよ。

  住宅の、掃除。ペケに、なりましたよ。心は、ニコニコですよ。

  本当は、そんなこと。思っては、いけないんだけど。

   疲れが。溜まって、いるんだもの。ありがとうって。いいましたよ。

  雨の日だと。「ぐうたらでも、いいですよ。」って。

  自分を。甘やかせ、られるん。だから。

   やっぱり、田舎育ちだよねえ。わたしは。

   雨の日は。畑仕事は。お休みだものね。おとうさん。

  田舎だったら、こんな日は。ゆっくり、中仕事。

   お布団の、修理なんかしてね。

   そういえば。よく、手伝ってたよねえ。わたしたち。

  あの頃は。お布団の。表布が、破けると。

   布の、かけ替え。とか。なんとか、いってね。取り替えるん、だけど。

   大抵。子供の、古くなった。晴れ着を、ほどいて。

    つかって、いたんだよね。あのころは。

   なんでも。リサイクル、だったんだものね。

  ちょっと。継ぎはぎの、ように。見えるんだけど。

   しっかりした、布で。きれいだったん、だよね。

  何年かに、一度。綿の、打ち直しと、いうのも。してたん、だよね。

  「うちは。綿を。つくっとったんじゃ。」  

  「その、綿で。布団を。つくっとったんじゃで。」って、いうのが。

   おとうさんの。自慢、だったんだよね。

  ほとんどの、家では。綿は。作って、いなかったから。

   綿の、打ち直しに。持って、行って。いたんだものね。

  「裏返した。布団生地の、上に。綿を、敷き詰めて。」

  「はしんとこ。糸で、とめて。くるっと、返すんじゃ。」

  「そしたら。布団生地の、中に。綿が、はいるんじゃ。」いうて。

   教えて、ほしいとも、言わないのにね。

   布団づくりを。伝授して、いたよねえ。おとうさんは。

  『そんなこと。しっとるわ。』と、思いつつも。

  得意になって、話している。おとうさんの。

   天狗の、鼻を。折るわけにも、いかず。

   黙って。聞いて、いたんだけどね。あの時は。

  田舎の子なら。たいてい、だれでも。知ってて。

   できる、ことなんだよね。

   おとうさん。だけでは、なくて。

  だって、ねえ。みんな。子供の時から。手つだわされて、いるんだもの。

   おとうさんには。わるいけど。あの頃の、田舎の子は。

   だれでも。みんな。まめ布団職人て。呼びたい、くらいなんだよね。

    ねえ。おとうさん。