おとうさん。きょうは。近くの、スーパーは。お休みですよ。

   ですから、夜は。おとうさんの、得意な。焼き飯ですよ。

  結婚したての頃は。わたしと、気まずいことが、あると。

  「ほら。できたぞ。」いうてね。

  かならず、おとうさんが、作って、くれたんだよね。

  もっとも。「先に、タマゴを、いれて。油分を、とって。」

   なんて、やってたから。

  おとうさんのは。焼き飯というより。

   チャーハンに。近かったのかな。おとうさん。

  おとうさんは、凝り性だから。

   あの、中華鍋を。わざわざ、買ってきてね。

   「この鍋は、なあ。」

   「こうやって。つかうんやで。」いうて。

   あの。重い、オタマまで。買ってきてね。

  おとうさんが、鍋をふると。鍋の中で。ご飯が、踊るんだよね。

   最後に。お店の、人が、するように。

    おたまで、ご飯を、すくってね。

    まん丸の、ご飯の、お山を。皿の上に。乗せて、くれたんだよね。

  「ほら。やって、みい。」いうてね。

   いつか。やらされたこと、あったけど。やっぱり、できなくてね。

   だって、ねえ。

   鍋が、重くて。鍋に。振り回されるん、だものね。わたしは。

  台所を。わたしが、あずかるように、なって。

   あの、中華鍋は。おくらいり。したままに、なって、いたんだけどね。

  台所の、工事で。とだなの、おくから。出てきたんだよ。おとうさん。

  この、ままだと。もったいないしね。

  きょうは。あれで。やって、みましょうかねえ。おとうさん。

   失敗しても。わたしが、食べる、だけだしね。

   おとうさんの、ように。うまく、できなくても。いいんだもの。

  おとうさんの、ように。片手で、鍋を持って。スイスイ、できなくても。

   片手で、むりなら。両手でもって。いったん、火を、止めて。

   オタマじゃ、なくて。フライパンで。する時の、ように。

    木ジャクシで、まぜてね。

   わたし流にね。やって、みるよね。おとうさん。

  「そんなこと、しとったら。」

  「ああ、あ。飯が。べとつくぞ。」って。

   おとうさんの、声が。聞こえて。きそうですけどね。

    ねえ。おとうさん。