おとうさん。おはよう。

  きょうは。季節が。後戻り、したのかな。

   きのうまでの、あつさは。どこに、行ったんで、しょうかねえ。

   連休中は。あんなに、暑かったのにねえ。おとうさん。

  季節が。まるで、夏のよう。だったでしょう。

   だからと、いうのじゃ、ないけれど。どこでも、かしこも。

   夏祭りは。五月の、連休に。したみたいだよ。田舎では。

  過疎化が、進んで。祭りを、仕切る人も。神輿を、担ぐ人も、いなくてね。

   連休に、合わせて。町から、人が、帰って、くるから。

   それに、合わせて。したみたいだよね。

   それと、ここ数年の、夏の、暑さだよ。その、せいも。あるのかな。

  本当は。お祭りには。祭りをする、理由が。あるんだよね。

   そして。行事を。行う、日にちにも。理由がね。

   だけど。神様の、都合も。聞かないで。

   今は。人間の、都合でね。行うように、なって、しまってね。

  実家の、近くの。祭り、だって。そうだよね。

  おとうさんが。まだ、元気だった時の。ことだよね。

   「こないだ。帰ったら。」

   「あしたは。祭りです。いうて。放送が、あったんじゃ。」

   「なんで。いまごろ。」いうて。

   わたしが、聞いたら。

   「神輿を、担ぐ人が。いないんじゃ。」

   「この、休みなら。何人か、集まってくれる。いうて。」

   「連休は。商売が、忙しいんじゃて。」

   「そじゃけえ。ことしは。こないだ、したんじゃ。」

   「来年は。日にちは。分からんて、言うとった。」って。

    いってたよねえ。

  田舎も。栄えて、いたころは。神輿も。三台あってね。

   それぞれの、神輿に。いわれが、あって。

   イネは。作って、いないから。

    麦や、除虫菊の。取り入れが、終わって。

    その。収穫を、喜びぶ、時期で。

   海に、近いこともあり。漁師の。大漁も、願いと。

  そんな、こんなで。たぶん。むかしから。夏祭り。だったんだよね。

  それが、今では。春祭り、どころか。日にちも、ままならず。

   神輿も。担ぎでも、いなくて。一台だけでね。

  わたしが、昔の、ことを、思いながら。

  「おとうさん。田舎は。勇壮な。けんか神輿やろ。」って、いったら。

  「いいや。大事に、せんと。いうて。」

  「そろそろ、担いどったで。」って。

  おとうさん。祭りの、様子を。話して、くれたんだよね。

  神様も。寂しかったで、しょうが。

   聞いてた、私も。寂しくなって、きてね。

    なんとも。言えなかった、けどね。あの時は。

  せめて。今度。田舎に、帰ったら。お宮さんに、行って。

   「この、神輿。」

   「あんたらの、じいちゃん達が。若かった時。」

   「こんな、風に。担いどったんよ。」って。

    話して、あげようかな。息子たちに。

   祭りの。いわれと、ともにね。

     ねえ。おとうさん。