「きょうは。わしの、悪口で。花ざかりや、なあ。」って。

  おとうさんに。苦笑いを、通り過ぎて。

   「クシャミの、連続やで。」って。

   いわれ、そうですよね。

  きょうは。ひょんな、ことから。近所で、食事会。

   メニューは。たこ焼き、ならぬ。チョボヤキ、ですよ。

  おとうさんが、元気だった頃。

   「コンニャク、あるか。」いうてね。

   コンニャクを。小さく、切って。味付けしてね。

   「むかしなあ。タコが、ない時に。」

   「これを、入れて。作った、ことが。あるんじゃ。」

   「チョボヤキ、いうんじゃ、言うて、なあ。」

   「なかなか、うまいんやで。」いうて。

    二人で、作ったこと。あったよねえ。

  ビックリ、するかも。知れないんだ、けどね。 

  きょうは。中身は。

   コンニャクでは、ないんですよ。なんだと、思いますか。

   『グリンピース』ですよ。おとうさん。

   「タコどころか。コンニャクも、ない時は。」

   「むかしは。これで、作っとったんやで。」

   「味付けした。グリンピースを。いれとったんじゃ。」いうてね。

   「きょうは。ホタテの、カンズメで。味付けしたんよ。」

   「味は。ええと、思うんよ。」いうてね。

   あの。カセットコンロを、つかって。作って、くれたんだよね。

  息子たちに。あんなに、

   「便利で、ええんやで。」

   「使ってみろ。つかってみろ。」いわれても。

   「危ないから。」いうて。ビビり、まくって。いたのにね。

   「なんや。こんなに、簡単やんか。」ってね。

    ほんと。笑って、しまうでしょ。おとうさん。

   だって、ねえ。おとうさん。

    むかしは。事故も、あったりと。大変、だったんだものね。

  でもね。なんでも。へたに。こだわって、いると。

   せっかくの。いい物の、値打ちも。見過ごして、しまうんだよね。

  そうそう。チョボヤキ、食べながら。おばさん。言って、いたんだよ。

  「わたし、なあ。結婚してから。ずっと。」

  「おじいさんは。こわい人やと、思うとったんや。」

  「どうしても。なじめん、かったんや。」

  「それが。何年も。たった、時に。」

  「こどもが。トンボを、とって来て。」

  「かごに、入れて。よろこん、どったら。」

  「それを、見て。おじいさん。いうたんや。」

  「それ。逃がして、やれや。」

  「おまえら。その、トンボ。今は、元気やけど。」

  「あしたの、朝は。しんどるでって。いうたんや。」

  「その時。初めて。」

  「この人は。優しい、人やて。思うたんや。」いうて。

   話して。くれたんだよね。

  なんでも、そうだけど。へんに。こだわって、いると。

   ほんとの、よさが。見えて、こないってね。

   カセットコンロと、おじいさんとは。ちがうんだけどね。

    ねえ。おとうさん。