おとうさん。

   ここ数日。住宅の、のり面。気にして、いなかったら。

   レンギョウの、黄色い花が。いっぱい、咲いてるんだよ。

   「わたしも。この。寒さの、中で。咲いてるんやもん。」

   「あんたも。グチグチ、思わずに。がんばりや。」って、いうようにね。

   レンギョウに。元気を、もらって。ルンルンと、散歩してたら。

   後ろ姿が。おとうさんに。そっくりな、おじさんが。

    前を。歩いて、いるんだよね。それも。二人もね。

    「後ろ、からなら。なんでも。わしに、見えるんか。」って。

    おとうさんに。笑われそう、なんだけどね。

    いくら。私が。あわてんぼう、だからと。言っても。

     声なんて。かけて、いませんからね。

    安心して、くださいよね。おとうさん。

   『げんき、だったら。あんな、ふうかなあ。』なんてことは。

    こころの、中で。思いは。しました、けどね。

    思うだけは、勝手だものね。

   ところで。おとうさん。

    「お彼岸には。ちっと、おそいぞ。」って。

     おとうさんに。言われ、そうなんだけど。

    『ぼた』では、なくて。『ぼたもち』を。作りますよね。

    春は、『おはぎ』では、なくて。『ぼたもち』だものね。

    小豆は。ストーブに、まかせて。コトコトと。

    もち米は。炊飯器で、炊くと。

     柔らかめに、なるので。ちょうど、いいものね。

    おとうさん、好みの。はんごろしに。しましょうか、ねえ。

   あしたの、三時の、おやつは。

   『ぼたもち』と、いうことで。決まりですよ。おとうさん。

    『ぼたもち』を、食べながら。ほうじ茶を、いれて。

    ほうじ茶、タイムに。しませんか。ねえ。おとうさん。

   行く、お彼岸を。惜しみながら。二人でね。

     そうしましょうよ。 ねえ。おとうさん。