おとうさん。おはよう。

  あっちで、ゴウゴウ。こっちで、グウスカ。まあ、たいへん。

  三分も、しないうちに。イビキの、共演ですよ。息子たちのね。

   それでも、二人と。。グッスリ、こんこん。夢のなか。

  その間で。わたしも、寝れるんだから。笑えるよねえ。おとうさん。

  おとうさんの、イビキも、相当な、ものでしたから。

   慣らされて、しまったのかな。おとうさんにね。

  でも。家族になるって、言うことは。こんな、ものかも。しれないよねえ。

   子供を、もった。その時から。

    子供の。夜泣きの、相手から。始まるんだ、ものね。

    だから。疲れて。どこでも、眠れるように。なるんだよね。

   特に、母親は。お乳を。くわえられて、いても。

   『コックリ、コックリ』してね。

    時々。『おかあさん。起きて。』って、いうように。

    ガブリって、やられてね。痛い、こと。

  「おとうさん。また。かまれたわ。」って、いうと。

  「ええやないか。歯が、生えかかっとんと、ちがうか。」

  「歯が、生えてくると。子供は、なあ。」

  「口ん中が。むずがゆう、なるんじゃて。」

  「それで、かんで、みたいんや。」いうてね。

   分かった、ような。分からない、ような。慰めを。言って、くれてね。

  おまけに。

  「田舎で、よう、言うとったで。」

  「かまれるの、いやじゃったら。」

  「乳に、唐辛子でも。ぬっとけ。いうて。」言うてね。

   笑い話のような、ことまで。教えて、くれてね。

  なには、ともかく。母親と、いうものは。色んなことを、乗り越えて。

   子育てを、していくうちに。

    あんな、イビキの。一つや、二つ。

    まったく。気にも、留めず。平気で。

    こちらも。グウ、グウ。眠れるように、なるんだよね。

   そういえば。おとうさん。自分では。気づかないん、だけどね。

   「おまえも。けっこう。イビキ、かいてるぞ。」

   「ゴー。ゴー。いうて、なあ。」って。

    私の、ことを。笑ってた、こと。あったよね。

   家族になるって、いうことは。こんな、些細なことの、積み重ね。

    笑えるような、ことの。積み重ね、なのかも。しれないよね。

     ねえ。おとうさん。