おとうさん。おはよう。

  きょうは。楽しい、ひな祭りですよ。

   息子たちが幼稚園の、頃。

   「きょうは。おひな様やろ。」

   「給食は。お寿司、やったんや。」

   「ほんで、なあ。おとうさん。お酒、のんだんやで。」

   「白い、お酒やった。めっちゃん。あまかったで。」

   「桜もちも、食うたんか。」

   「ちがうで。クレープやった。」

   「先生たちが。作って、くれたんや。」

   「お帰りの時。これ、もろうたんや。」

   「おひな様の、あられやで。」いうて。

   ふだんは。飲まして、もらえない。『お酒』が、飲めたと、言うわけで。

   夕食の、時は。毎年の、ことながら。

    ひな祭りの、ことで。話が。盛り上がったん、だよね。

  でもね。息子たちが。

   「白酒や。白酒や。」いうて。喜んでいたのは。

    本当は、『あまざけ』だったんだよね。

  おとうさんには。本物の、白酒を。買ってきてね。

   「きょうだけは。これに、して。」ってね。

   「すごいなあ。おまえらも。これ、飲んだんか。」いうて。

   息子たちに。話を。合わせて、いたんだよね。

   だってねえ。酒飲みの、おとうさんには。

    白酒は。苦手、だったんだものね。

  白酒は。苦手でも。甘酒は。好きだったん、だよねえ。おとうさんは。

   一時。買い出しに、行くと。必ず。『こおじ』を、買ってきてね。

    専用の、魔法瓶で。発行させてね。作って、いたんだものね。

     自家製、『あまざけ』をね。

   なかなか。子供の時に、飲んだ。あの、味が。だせなくてねえ。

   「おとうさん。なんでやろ。」

   「味は、ええのになあ。」 

   「何回やっても。あの。むかし、飲んだ。あの味に、ならんのんよ。」

    いうて。何度も、作ったんだよね。

  近頃、やっと、分かったよ。おとうさん。

   おとうさんや、わたしが。子供の頃は。

    温度管理が。今のように。できなかった、頃だものね。

    発酵させすぎて、いたんだよ。たぶん。

     だから。酸味が、ちょっと。出て、いたんだよね。

   一人暮らし。ご飯が、少し、あまったら。

    しばらく、やめていた。甘酒づくり。また、始めようかなあ。おとうさん。

     しっかり、練習してね。

    「おとうさん。これ。子供の頃の、味だよね。」って。言ったら。

    「やっぱり、この味や。うまいのう。」って。

     言って、もらいたいもの。おとうさんには。

      ねえ。おとうさん。