おとうさん。きょうは。土砂降り。

   天気よほうは。バッチリ、あたりましたよ。

   きのう。外仕事は、してたから。大丈夫。

    きょうは。ゆっくり、いつもの、コースで。返ります。

   きのう。みんなで。墓参りしたよ。墓みがき、しながら。

   「おとん。これで、ええか。いうて。」

   「病院の、ベッドにいる。おとんに。ラインしたよなあ。」

   「花は、こんなもんか。言うて。写真とって、きたら。」

   「けっこに、たてとる。いうてね。」

   「おとうさん。喜んで、いたんだよ。」

   「そやから。あんたらが、たてて。」いうてね。

   あの時の、ように。二人に。お花は。たてて、もらったよ。

    おとうさん。どうでしたか。じょうずに、してたでしょう。

  あと、何年。こうやって。してあげれる、だろうか、ねえ。

   そう、思いながら。できることの、ありがたさってね。

   奇麗になった、お墓を。みながら。そう、思ったよ。

  そうそう。木の、剪定も。したんだよね。

  「イノシシより。人間様の、方が。こわいは。」

  「こんな、高いところも。とらされるん、やから。いうて。」

   息子たちに、言われながら。

  「もったいない、もん。」いうてね。

   もう、残っていない。木の、てっぺんの、ハッサクを。とったんだよね。

  「おいしい、木は。みんな、イノシシに。やられとる。」

  「悔しいなあ。」そう、いいながらも。

  「ちゃんと。肥料、やらんと。」つて。いいながら。

   がんばって、くれたんだよ。ありがたいよねえ。おとうさん。

  そうそう。きのう、長男が。

  「なんやろ。ここに、おると、時間が、たつの。忘れるわ。」

  「一日が、こんなに、長かったんか。」ってね。

   不思議やねえ。時間の、流れる、早さは。同じなのに、ねえ。おとうさん。

   向こうに、帰れば。

    仕事に、追われる、毎日が、待って、いるんだよね。二人とも。

  「おとうさん。これから、どうしたい。」って、聞いたら。

  「田舎、半分。こっち、半分が、ええなあ。」って、言ってたでしょ。

   そんな、おとうさんの、気持ちが、分かるような。

    年に。なったのかなあ。二人とも。

    まだまだ。二人で、一人前の、ように。見えるのにね。

      そうでしょう。 ねえ。おとうさん。