おとうさん。きょうは。何の日って、きかれたら。

   忍者の、日でも。あるんだって。おもしろいよねえ。

   知らない、うちに。そうなって、いるんだものね。

  そういえば。あそこの。しかけの、ある。屋敷を見に。

    子供たちを、連れて。よく、行ってたよねえ。

  「おとうさん。ここ。踏んで、み。ギーギーいうで。」

  「壊れとるんと、ちがうんか。」

  「いなかの、廊下。音せんのになあ。」って。息子たちに。いわれて。

  何回も。

   「これで、ええんや。」「これで、ええんやで。」言うても。

    納得して、もらえなかったり。

   なんとか返しや、いうて。板が、回ると。人が、いなくなるのを。見て。

   「おまえらも。やって、みい。」いうて。

   おとうさんが、息子らを。けしかける、ものだから。

   係の人が。

   「やって、みたい人。」言うたら。手を、上げてね。長男が。

   「半回転ですよ。」いわれたのに。

   一回転して。

   「兄ちゃん。消えて、へんで。」いうて。次男に、言われてね。

   二回、三回と。戸板を、背にして。クルクルまわって。目を、まわしたり。

   庭で飛んでた。

    オモチャの、ハトに。興味を、持ったのは。おとうさんの、方でね。

   「あれは。こうやって。動くんやで。」って。

    息子たちには、少し、難しい。機械の、話を、したりと。

   あっち、こっちに。しかけが、いっぱいあって。  

    勉強にも、なったし。楽しかったよねえ。あそこは。 

    最後に、いつも。顔出し写真を。撮ったん、だよね。おとうさん。

  おとうさん。おぼえてる。

   なんにでも。すぐ、はまって、しまうのが。我が家の、息子たちでね。

   田舎に、帰った時に。

    素潜りの、上手な。父を、見て。息子たち、言ったんだよね。

   「おとうさん。じいちゃんは。すごいなあ。」

   「『すいとんの術』が、できるんやで。」いうてね。

   「おれらも、やりたい。」言うて。

    じいちゃんに、簡単な、シュノーケルを。買って、もらってね。

    浅瀬で。やって。みたんだ、けどね。

   「見て、見て。いいながら。」

   ガブ、ガブ。潮水を。飲んで、ばかりでね。

   『すいとんの術』どころか。

   シュノーケルは。なんの、役にも。たたなかったん、だよね。

  いまでは。カッパの、孫は。カッパ。

   なんの、術も。道具も、使わないんだけど。

   二人とも。素潜りは。得意、なんだよね。我が家の、息子たちは。

    なんせ。あの、じいちゃんの。孫だものね。

     ねえ。おとうさん。