「わあ。なんで。こんなに、あつまって。」って、見たら。

  ピラカンサだよ。まだ。あの。真っ赤な、実が。残って、いたんだよね。

  メジロの、大群が。むらがって、いたんだよ。おとうさん。

   どっから、やって、来たんだろうねえ。

   食べ物には、目がないって、言うのは。私たち、人間だけでは。ないんだよね。

  メジロも、人間も。器用不器用って、言うのが。いるんだよね。

   得手不得手って、いうのも。あるんで、しょうかねえ。おとさん。

   ほんと。食べるの。じょうずなのも、いれば。へたくそなのも、いてね。

    見てると、おもしろいんだよね。

  メジロと、我が家の息子を。一緒にしては。いけないんだ、けどね。

   長男の、運転技術は。なかなか、上達しませんねえ。

   得手不得手と、いうのも。あるんで、しょうが。

   ちと、慎重すぎなのか。ビビりなのか。どっちなんで、しょうかねえ。

  そういえば。覚えてますか。おとうさん。一輪車のことですよ。

   一時。住宅内で。ローラースケートが、はやってね。

   我が家の、息子たちも。運動靴の、下に。四ツ車を。結び付ける、やつとか。

    二つ車の、付いた。クツを、はいて。

    暇さえあれば。住宅内を。走り回って、いたんだよね。

  運動では。次男に、負けてばかり。

   長男かたなしで、ねえ。かわいそうに。思って、いたら。

  ある日。おとうさん。なにを、思ったのか。あれを。買って、きたんだよね。

   「これ、買うて来て、やったで。」

   「これが、乗れたら。かっこええぞ。」いうて。

  一輪車を。買って、来て。くれたんだよね。

   最初は。次男の、方が。早く乗れるように、なるってね。

    正直。思って、いたんだよ。わたしはね。

   ところが。大違い。乗れたのは、長男の方。だったん、ですよねえ。

   努力家の、長男は。根気強く。毎日、毎日。練習してね。

    見事に。住宅内を、一周して。見せたんですよね。私たちに。

    なんでも。得手不得手は、あるもの。

   努力嫌いの、次男は。ギブアップしてね。

    結局。乗らずじまいになって、しまったんだよね。

  あの時と、同じでねえ。おとうさん。

   努力家の、長男だもの。そのうちに。

   「兄。運転。うまくなったなあ。」って。

    言われる日が、来るかも。しれませんよね。

     そのうちにね。 ねえ。おとうさん。