おとうさん。おはよう。

  おとうさんと、あそこに、来たときは。

   こっちに。用事で、来た時で。少し時間が、あったからって。

    わたしを。つれて、行って。くれたんだよね。あそこまで。

  「わし。友達と。ここに、泊ったことが、あるんや。いうて。」  

  「近くの、旅館の。前に、行って。」

  「ここは。ええ、温泉なんよ。」

  「きょうは、時間が、ないけど。また、ゆっくり、こんかあ。いうて。」

  「旅館の、すぐ前の。海を、見ながら。」

   友達との話。聞かせて、くれたんだよ。あの時はね。

  「ほら。あっこの、堤防の、とこや。」

  「おとうさんと、座って。話を、したのは。」って。

   次男に。話して、あげたんだよ。おとうさん。あの時の、ことをね。

  あの、旅館の前。綺麗になって、ねえ。ビックリ、したよ。

   夜、だったから。ライトアップして、あって。

   あの時と、雰囲気は、違って、いるんだけどね。

  「ここ、ここ。ここで、足湯したんよ。」って。

  あの、足湯に。次男とね。行ったんだよ。

  「おかん。熱いなあ。」

  「ええ。ゆやなあ。」

  「おかん。おとんは。どこに、座っとったんや。」いうてね。

  つぎから、次に。質問攻め。

   おとうさんとの。思い出話にね。花を、咲かせたん、だよね。

  足湯を、たんのう、した後で、行ったんだよ。

  おとうさん。覚えてる。シジミの、有名な、あの場所だよ。

   子ども達が、まだ、小さかった時。夏休みにね。

   車で。山陰を、旅した時、行った、あの場所だよ。

  あの日は。朝日の、中で。

   「きれいやねえ。おとうさん。」言うて、いたのにね。

   きのうは。真っ暗な。雪の中。だったんだよ。

  大きな、橋が、できていてね。

  「おかん。わたろう。」って。

  わたってね。渡り終えたら。次の県に。到着。

  何年も、むかし。

  「おとうさん。ここ、真っ暗やねえ。」

  「ここで、エンジン、とまったら。どうなるんやろう。」

  って。言いながら、車。走らせたこと、思い出して。

   またまた。苦笑い、だよね。

  「おかんは。ぎょうさん。おとんと。行っとったんや、なあ。」って。

  息子。感心して、いるんだけどね。

   それだけ。思い出を。たくさん。

   おとうさんが。のこして、いって。くれたと。いうことだよね。

     ねえ。おとうさん。