おとうさん。おはよう。

  いやいや。今日は。

  『明けまして。おめでとう。ございます。』って。言うんだよね。

   でも。まだ。おとうさん。我が家の、一年は。終わって、いないんだよね。

  あの、長い、長い。

   そして。短かった、一年は。去年の、この日から。始まったの、だからね。

  きょうは、とても。静かだよ。おとうさん。

   救急車の、ピポピポが。聞こえて、こないのが。一番、うれしいよねえ。

   あの、音を、聞くと。

    我が家の、ことで、なくても。心が、痛むもの。

  ありがたいことに。息子たちや。およめさんが。気配りして、くれて。

   きのうは、笑いながら。年が、こえられたよ。おとうさん。

  多分、世の中には。去年の。私達の、ように。

   悲しい。眠れない、夜を。過ごした、人も。いっぱい、いるんだろうにね。

   そんな、人に。せめて。

    「元気を、だして、ください。」って。言いたいよね。おとうさん。

  悲しい、思いも。辛い、思いも。消えることは。ないんだものね。

   『いつか。きえますよ。』

   『そんなの、乗り越えられますよ』って。

   他人は、勝手なこと。言いますが。

    なかなか。そうは、いきませんよねえ。

  自分が。その、立場に。たって。はじめて。

   ひとの、心が。分った、ような。気に、なるだけで。

   本当の、ところ。分かる、はずもなく。

   まして。推し量る、ことなんて。到底。できないん、だよね。おとうさん。

  未練が。絶ち切きれ、ないのが。

   人と、いうもの。可愛い者、なんですよ。

   「みれんがましい」だの。

   「あんた。まだ。そな、未練を、ひきずって。」なんてね。

   言う人が、いるんだけどね。

   いいんじゃあ。ないですか。ねえ。おとうさん。

  未練を、引きずって。歩ける、人と。

   この、世で。出会えたん、ですからねえ。

    ある意味。わたしは。幸せな、人ですよねえ。

   人が。なんと、言おうと。かって。

  わたしは。わたし。おとうさんへの。未練を。引きずりながら。

   「おとうさん。」「おとうさん。」てね。

   二人で、生きて、いきましょうよ。

    これから、先も。ねえ。おとうさん。

     いいで、しょう。 ねえ。おとうさん。