おとうさん。おはよう。

  あすから、もっと、寒くなるんだって。少しは。雪が、積もるのかなあ。

  「温暖化、温暖化。」って。言われてね。温かく、なって。しまってね。

   この辺でも。めったに。積もること。なくなったものね。

   雪が、積もると。おとなは、大変なんだけど。

    子どもは。喜んだよねえ。

  雪が、降ると。

   おとうさんは。こども達を、喜ばせようと。いろいろ、やったよねえ。

  「箱、あるか。」

  「どうするん。おとうさん。」言うたら。

  「ええから。箱を、くれえ。」言うてね。

  ミカンの。空き箱を、持って。出て行ったと、思ったらね。

   雪を。いっぱい、入れてきてね。

   あの。団地の、風呂場に。敷き詰めて。

  「はよ。風呂を、沸かせ。」言うてね。

   風呂場で。雪ダルマを、作ったり。雪合戦を、したりしてね。

   後は。お風呂に、ドボン。だったんだよね。

  よちよち歩きの、頃は。恒例だった。風呂場での、雪合戦も。

   だんだん。風呂場が、狭くなって。ねえ。

   雪ダルマ作りも。雪ウサギ作りに、変ったんだよね。

   「今年は。これじゃ。」いうて。

   おとうさん。ナンテンの、枝を。もらって。来て、くれたんだよね。

   「おとん。これで。なに、するんや。」

   「これか。」

   「これは。ナンテン、言うんや。」

   「これから。みんなで。『雪ウサギ』つくるんや。」

   「雪ウサギ、いうて。なんや。」

   「雪で、ウサギを。作るんや。」

   「この、赤い実が。ウサギの、目で。葉っぱが、耳や。」いうてね。

   風呂場で。雪ウサギを。作ったんだよね。

  せっかく、作った、雪ウサギも。

   お風呂場では。朝までには。溶けて、いたんだよね。

   「おとうさん。ウサギが、おらんように、なったで。」って。

   次男が、さわぐ、ものだから。

   長男まで。

   「ほんまや。ほんまや。うさぎが、どっかに。行って、しもうた。」いうて。

    大騒ぎ、してね。

  そしたら。おとうさん。

   「さわがんでも。ええ。」

   「こんばん。お月さん、出たら。外に。連れて、行ってやる。」

   「そしたら。よう、見てみ。」

   「あの、中に。ウサギが、おるけえ。」

   「ウサギは、なあ。お月さんに。かえって、しもうたんや。」いうて。

    おとうさん。二人に。話したんだよね。

  夜になって。寒いのに。親子で、今度は。月見を、してね。

   あれも。いまとなっては。楽しい。いい、思い出だよね。

     ねえ。おとうさん。