おとうさん。きょうは。とても、温かいんだよね。

  こんな日を、冬うららって、言うんだよね。

  そんな、日差しに、誘われて、ちょっと、散歩に、でかけたら。

   道に、写った。木々の。枝の、きれいなこと。

   もしも、葉っぱが、あったなら。

    あんな。きれいな、影は。できないんだよね。

   皮肉なもので。なんでも、あれば、いいと、言うものでも。ないんだよね。

  あの枝の、影は。なんに、見えるかな。この枝は。ってね。

   考えて、いたらね。おとうさん。

  こども達と、やった。影絵遊びを、思いだしたよ。

  「おとうさん。きょう、幼稚園で、かげえ、見たで。」

  「誕生日会で。先生が、影絵芝居。してくれたんや。」

  「ほんでな。後から。みんなに、教えて、くれたんじゃ。」

  「こうやったら。犬なんやで。」

  「指を。こうまげたら。キツネに、なるんや。」

  「おとうさんも。やってみ。」いうてね。

  夕飯の、時。長男に、言われてね。

  「ほら、これは。ハトや。」いうたら。

  「おとうさん。スズメは、どうするん。」

  「おれは。スズメの、ほうが、ええわ。」言われてね。

  「そんなら。飯、食うてから。教えてやる。」

  「はよ。食え。」言うてね。

  それからが。大変だったん、だよね。おとうさん。

  夕ご飯の、片付けも、済まないうちに。机を、隅に。おいてね。

  「シーツを。持ってこい。白いやつ。」言うてね。

   台所と。六畳の、間の。はりに、かけてね。

  「そっちの、部屋の。電気は、消してくれ。」いうて。

  おとうさん。シーツの、むこうから。

   「ワン、ワン。」言うては。犬の形を、写し。

   「コン、コン。」言うては。キツネの、形を、うつしてから。

   「これが。ハトポッポや。」

   「こっち、来てみ。」

   「おまえも。おとんの、ように。手を、こうやってみ。」

   「写っとる、影は。小さいやろ。」

   「チュン、チュン。いうてみ。」って、言ったら。

   傍にいた。次男が。

   「チュン、チュン。」て、言ったんだよね。

   そしたらね。おとうさんが。

   「ほら。それが。スズメじゃ。」言うてね。

   みんなで、大笑い、したんだよね。

    スズメも、ハトも。影の、大きさが、違うだけ、なんだけどね。

     ねえ。おとうさん。