「きょう。うちの、お父さん。熱出して。ねてるんよ。」
「花火が、あったやろ。」
「娘たちや。元の、同僚よんで。焼肉パーティーしたんよ。」
「孫たちが。怖がって。わたしに、しがみつくやろ。なんも。でけん。」
「おとうさん。がんばったんよ。」
「それに。お酒の、相手が、おるしね。」
「ついつい、飲み過ぎて。」
「ほじゃけど。これは。おとうさんに、とって。」
「一年に、一度の。大イベント、やもんね。」
そう言って。彼女。苦笑い、してたよね。
どこの、家でも。
その家。その家、ごとの。一大イベントって。あるんだけどね。
良い事では、ないんだけど。
むかしはね。葬儀や。法事は。田舎の。人間に、とっては。
どこの、家でも。それこそ。大、大。イベント。だったんだよね。
「うちは。何人の、付き合いが。あるんじゃ。」
「お供えは。こんなに、きたんじゃ。」
「あそこは。おがみに、いったら。こんなもん。くれたで。」
言うてね。
付き合いの、人数を。競ったり。お返しの、値踏みを、したりしてね。
一生懸命、働いて。
葬式や、法事のために。お金を。貯めて、いたんだものね。
その、人が。あの世に、行って。悲しいと、思う間もなく。
香典がえしの。相談を、してね。疲れはてて。
やっと、終ったと、思ったら。
つぎの。法事が、やって。来てね。これの。繰り返し、なんだけど。
『なんとかは。孫の、正月』って、言って。
子供はね。どこの、子も。大喜び、だったよね。
たくさんの、人が。うちに、来るし。
いつも。食べられない、ような。おいしい、お菓子は。あるし。
少々、いたずらしても。叱る、人も。いないしね。
子供に、とっては。いいこと、ばかり。だったんだ、もんね。
いつの、頃だったか。『この、習慣は。やめましょう。』って。
跡継ぎさんが。大変やからって。言うことに。なったんだよね。
今は。過疎化が。進んだ、ことも。あるんだけどね。
会館で、ひっそりとね。人数も、少ないしね。ちょっと。さみしいよね。
『孫の、正月』とまでは。いかないまでも。
夜通し。あの世に。行った、人を。思いながら。
男の、人は。酒を、酌み交わし。
女の、人は。茶菓子を、つまみながら。ワイワイ、やっていた。
むかしの、ような。
そんな、時間が。少しは。あっても、いいよね。
疲れを、出さない。程度にね。
ねえ。おとうさん。