<お仕事>
全ての条件から今シーズン、北海道で最高のコンディションが期待できた。
その予想は見事に的中した。
到達高度2200m (平均的なニセコは1500~1700m)
初めてのエリアでは、とかく緊張してあらぬ操作をして怪我をすることが多い。
特に長時間飛べた後などは集中力や判断力も低下する。
リラックスしてもらうために、バンバンになる前に、
朝一番のゴンドラでテイクオフ(離陸)場に上がり、
ぶっ飛びをしてもらうことにした。
サーマルは既に発生しつつあったが、ステイできる程ではなく、
高度を徐々に落としてしまう程弱かった。
正に、ぶっ飛びに持って来いだった。
しかし、ここでアクシデントが発生した。
お客様の一人が、ランディング(着陸)直前にブレークコードを引き過ぎ、
ストール(失速)させて、ハードランディングしてしまった。
どうやら、腕を怪我したようだ。
その外には別状は無く、自力で歩いていた。
丁度、ワイフが塾の様子を見に来たので、
急遽、病院まで搬送してもらうことにした。
他のお客様が動揺しないように、
命に別状は無いという簡単な説明だけに留め、
詳細は後程ワイフから連絡が入ると伝え、
そのままフライトを続行してもらった。
病院に付き添いたい所ではあったが、他のお客様は現在も飛んでおり、
精神的な同様から有り得ないコントロールをする場合があるので、
目が離せなかった。ここは、ワイフを信頼して、
川地はお客様の 『 良い思い出作り 』 に専念することにした。
この後、コンディションは陽が上がると共に良くなり、
夕暮れまで飛んでいられる程だった。
全てのお客様が標高2000mまで上がり、
ニセコの山頂上空から360度の大パノラマを満喫した。
空気が澄んでいたので、日本海も太平洋も臨むことが出来た。
川地のFBとしては、やはりアクシデントが起きてしまったことだ。
ブレークコードを引き過ぎる癖のあるお客様だったので、
ファイナルターンの後、もう一言、
「直線飛行は長くても大丈夫、最後はスピードをつけて!」
と言えば、良かったと思う。
そして、これとは別に残念だったのは、
今回の催し物は、本州の塾生のための国内ツアーがメインではなく、
北海道地区の為のセミナーが目的だったにも拘らず、
その塾生の参加が非常に少なかったことだ。
これでは、本末転倒である。
今、北海道の一エリアで起こっている衝突が
パイロットの 『 楽しく飛びたい 』 , 『 上手くなりたい 』 という気持ちを
萎えさせているのかもしれない。
ともあれ、一日は終わり、
最高のフライトをしたお客様達は皆様、満面の笑みで帰途についた。
また、ワイフと翔は観光にも行けず、
ほぼ一日中病院に居ることになってしまい、申し訳ないことをした。
明日は、一日観光に付き合おうと思う。