懸垂 | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<保育園> 晴れ

翔の移動はいつも這いずりである。

したがって、腕の力、特に引き付ける力は

同年代の子に比べると強い方だ。


ジャラジャラ で遊ぼうと近付いた時に、

間違えて手前で仰向けになっても、ジャラジャラの輪に摑まって、

まるで体操の選手が吊り輪の演技をするかのように懸垂をして

体を玩具の下へ引き入れる。


勿論、翔は寝そべってだが、床と体の摩擦から考えると、

相当の抵抗があるので、たやすくはない事は容易に想像がつく。


ファミリーレストランに行った時に、

バギー(子供用車椅子)に座ったまま、

近くにあった椅子を移動させたり、倒したりもする。



そう言えば、もう一つ翔のずば抜けた能力がある。


この間ワイフがファミレスへ翔を連れて行った時の事、

いつもの様に店員に対して、

翔は第一級の警戒態勢を敷いていたらしい。


ある店員が隣のテーブルを片付けに来た時に、

翔のほっぺに付いたご飯粒を見つけ、

「あらっ?」と言って、取ってくれたそうだ。


するとどうだろう、翔はその店員に心を許し、

それからはその店員に限って

近くを通っても気にもせず、パクパク食べていたそうだ。

勿論、他の店員に対しては警戒態勢は解かなかったらしい。


わずかな間でその人の特徴を把握する能力は、普通の子のようだ。

更に、近くに来た店員を見もしないで、どうしてその人だと分かるのか?

摩訶不思議だ? (-_\)(/_-)三( ゚Д゚)