日本選手権 五日目  全てが終わった | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<大会> 雷雨 のち 晴れ 台風DASH!波

朝方まで雷と大雨が降っていた。

北日本では風による被害が相次ぎ、ニュースを賑わしている。

木枯らし一号の天気予報が気象庁から発表された。


当然ながら競技は中止され、加賀山選手の優勝が決定した。

同時に川地の世界選手権行きは消滅した。



負け惜しみを言うわけではないが、

これで良かったのではないかと思う。


現時点における川地の状態(心技体、特に“心”)は低迷していて、

取り巻く環境も整っているとは言い難い。

したがって、世界選手権で優勝できるとはとても言えない状況だ。


こんな私が世界選手権に行って、不甲斐ない成績を残すぐらいなら、

まだ、未経験の選手が出場し、多くの事を学んできた方が、

日本のパラグライダー界にとってプラスになるだろう。



世界を狙うためには、才能だけでは足りない。

まだ、二十歳そこそこなら、多少の貧しさも苦にはならず、

むしろハングリー精神を掻き立てるだろう。


しかし、今年40歳の家庭持ちの中年には、

なりふり構わずという訳にはいかない。

競技を続けるための環境も作らねばならない。



また、塾長(コーチ)と競技者(コンペティター)の

『 両立 』 という難しい課題もクリアーしなければならない。

メンタル(心)面では、両者は相反するものだからだ。


コンペティターとは、勝敗にこだわり、 『 勝つ 』 ために

自分というものの方向を全てをそれにむけ、

自分の感性を極限まで高め、時にはストイックにもなることで、

切れ味鋭い 『 名刀 』 を目指す。。


方やコーチとはプレーヤー(パイロット)を

より良い方向へ導き、才能を引き出さなければならない。

自分の感情を抑え、常に冷静で的を得たアドバイスを用意し、

ある時は、自分を犠牲にしてフォローしなければならない。

決して、自分自身が 『 刀 』 であってはならず、

せいぜい 『 竹刀 』 程度に留めて置くべきである。


名選手が名監督、名コーチとは限らないとよく言われるのは、

ここに理由があるためだ。



今度の事を良い切欠に、川地の進退を含めた

今後の身の振り方、将来の生活に関する自分の方針を

真剣に考えてみる時が来たのかもしれない。