<大会> のち
朝方まで雷と大雨が降っていた。
北日本では風による被害が相次ぎ、ニュースを賑わしている。
木枯らし一号の天気予報が気象庁から発表された。
当然ながら競技は中止され、加賀山選手の優勝が決定した。
同時に川地の世界選手権行きは消滅した。
負け惜しみを言うわけではないが、
これで良かったのではないかと思う。
現時点における川地の状態(心技体、特に“心”)は低迷していて、
取り巻く環境も整っているとは言い難い。
したがって、世界選手権で優勝できるとはとても言えない状況だ。
こんな私が世界選手権に行って、不甲斐ない成績を残すぐらいなら、
まだ、未経験の選手が出場し、多くの事を学んできた方が、
日本のパラグライダー界にとってプラスになるだろう。
世界を狙うためには、才能だけでは足りない。
まだ、二十歳そこそこなら、多少の貧しさも苦にはならず、
むしろハングリー精神を掻き立てるだろう。
しかし、今年40歳の家庭持ちの中年には、
なりふり構わずという訳にはいかない。
競技を続けるための環境も作らねばならない。
また、塾長(コーチ)と競技者(コンペティター)の
『 両立 』 という難しい課題もクリアーしなければならない。
メンタル(心)面では、両者は相反するものだからだ。
コンペティターとは、勝敗にこだわり、 『 勝つ 』 ために
自分というものの方向を全てをそれにむけ、
自分の感性を極限まで高め、時にはストイックにもなることで、
切れ味鋭い 『 名刀 』 を目指す。。
方やコーチとはプレーヤー(パイロット)を
より良い方向へ導き、才能を引き出さなければならない。
自分の感情を抑え、常に冷静で的を得たアドバイスを用意し、
ある時は、自分を犠牲にしてフォローしなければならない。
決して、自分自身が 『 刀 』 であってはならず、
せいぜい 『 竹刀 』 程度に留めて置くべきである。
名選手が名監督、名コーチとは限らないとよく言われるのは、
ここに理由があるためだ。
今度の事を良い切欠に、川地の進退を含めた
今後の身の振り方、将来の生活に関する自分の方針を
真剣に考えてみる時が来たのかもしれない。