翔、目覚めず!! | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<保育園> くもり

いつものように元気で保育園に出かけた。

今日はワイフが居ないためか、クラスメイトが近寄ってきて、

瞬く間に輪が大きくなった。


お世話好きな女の子達が、今日は一段と世話をしてくれる。

翔の椅子の用意から、落下防止のベルト締め、

よだれ拭き用ハンドタオルの準備をして

口の周りを拭いて上げるなどなど、

感心するくらい動き回っている。


昨日はワイフが居たので照れていたのか?

それとも姑が怖かったのか? (^▽^;)


翔は、なんとそんな女の子の頭を撫でていた。

翔は極々親しい人にしか手を伸ばさないのに・・・、

ビックリである。  (*^.^*)\(。・ε・。)  ∑ヾ( ̄0 ̄;ノ


女の子はどう思っているかは知らないが、

翔が気を許している事は明らかだ。



明日から、冬季の川地塾が始まるので準備でバタバタしている時に、

電話のベルが鳴った。

何か虫が知らせた。

「翔くんが、目覚めないんです。」

予感は的中した。

保育園の先生から緊急連絡だった。


いつもの時間にお昼寝をしたが、

直ぐにオシッコで目が覚めてしまったらしい。

いつもならまた直ぐに寝てしまうのに、

何故だか今日は寝なかったらしい。


そして、お昼寝タイムが終わりに近づいた頃、

ようやく眠りに付いたので、しばらく静かに寝せておいたのだが、

周りで子供達が遊び始め、歌や踊りが始まっても

一向に目を覚まさない。

少し目を開けても直ぐ寝てしまうのだそうだ。


以前に、翔が発作を起こした時と似たような様子なので、

先生が心配になって、電話をしてきたのだ。



仕事の途中だったが投げ出して、保育園に向かった。

翔は丁度起きた所だった。

しかし、明らかに様子がおかしい。

寝惚けているようにも見えるが、翔は寝起きは良いので、

明らかに変だ。

呼びかけても、ニコリともしない。

寒いのか?時々体が震えるのが分かる。

だが、発作の震えとも違う。


とにかく、病院に連れて行くことにして、抱っこして車まで行った。

その最中に見る見る顔色が良くなり、笑顔が戻った。

車でビデオを見せると、いつもの様に大はしゃぎをした。

「なんだ、翔、寝惚けていただけか!?」

「いつもと違うから、皆、心配したんだぞ!!」 (;;´ω`) フー・・o

翔は先生にさよならの挨拶もせず、

何事も無かったように、食い入るようにビデオを見ている。

翔がしないので私が代わりに先生方に挨拶をして帰路に就いた。


家に着いても、いつも通りビデオに直行した。

まったく、人騒がせな奴だ。

バリケードでもがいているが、放って置こう。

しばらくすると簡単に乗り越えて、ビデオに辿り着いた。


これなら心配する事も無いな!

翔にビデオを見せて、途中だった仕事を再開し始めた時、

再び様子が急変した。



大好きなビデオの最中に寝る事などありえないのに、

机の上でうたた寝を始めたのである。

やはり何かがおかしい?

直ぐに布団で寝せた。


タイミングの悪い事に、隣り近所の何処かでピアノの練習が始まり、

寝室のある廊下では子供が奇声を上げて走り回り、

奥様方が井戸端会議に花を咲かせている。 四面楚歌状態だ。

頼むから今だけ止めてくれ!! 。゚(T^T)゚。



それでも、何とか寝せる事に成功した。

一時間ほど寝ていたが、以前の発作のような事があるので、

ずっと付き添っていた。

私の不注意で、玩具のピアノを触ってしまい

翔が目を覚ましてしまったが、少しだけ元気になったようだ。


しかし、一番人気のママの手作りコーンポタージュは

少ししか飲まず、大好きなご飯にいたっては、全く食べない。

緊急事態だ!!


熱を測った。

37.9℃あった。

即座に、発作止めの坐薬を使用した。

翔は再び深い眠りに就いた。

今度は、薬による睡眠なので熟睡できるだろう。

しかし、予断は許さない状況だ。

明日、ワイフが病院へ連れて行くことになった。