PWC in Slovenije Vol.08 TASK4 成立 | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<海外遠征> 晴れ所によりくもり 調整はバッチリだったが・・・

今日もまたまた快晴だ。

Stolテイクオフ

カメラ 2006/09/07 テイクオフでコバリドの谷を撮影


寒冷前線が接近しているので、
昨日よりは雲底が高く、コンディションも良くなるだろう。


レース設定は、日を追うごとに難易度が高くなり、
選手たちは篩いにかかっていく。
日本とは違い、距離がそのまま難易度とは言えない。


一方で今日のレースは、扇沢選手にっとって
“今大会の優勝”と
“今シーズンのワールドカップ・チャンピオン”に
なるための大事な一本となる。


川地は残念ながら、
今大会の優勝戦線から大きく離脱してしまったが、
自分の飛びのスキルやレベルアップに
つながる飛びをしようと思っている。


さて、レースは73kmが設定された。
機体の調整が仕上げ段階に入った川地は、
序盤から飛ばす事ができて、
先頭グループの最前列に陣取る事ができた。


イタリアとの国境を折り返した時点でも
クリスチャンマウラーとバリック兄弟、
そして、扇沢選手と共にトップに居た。


そして、いよいよこれからレース中盤に差し掛かる!
という時に、アクセルラインが切れるという
アクシデントが発生した。


過去にも大会中に切れたという苦い経験を活かし、
シーズン初めには必ず新しい物に交換している。
しかし、今回はアクセルの多様と
開発段階の重いアクセルの為に、
通常の何倍もの『使用頻度』と『負荷』が
かかった結果、切れてしまったようだ。


今日のレースの勝ち目は限りなく低くなったが、
それでも、空中でアクセルを応急処置でつなぎ合わせ
30%は踏めるようにした。
ただ、少し手を使う必要が有るので、
得意のアクセルワークは出来ず、封印されてしまった。


コースは二つ選択肢があり、
選手の2/3は遠回りだがアクセル・ガンガンのコースを選択したが、
川地は比較的アクセルを踏まなくて済む直線コースを
選択するしかなかった。


それでも、序盤のリードでしばらくはトップを飛べたが、
アクセルを50%以上を常に踏んでいるグライダーに
次々と抜かされ、悔しい思いをすることになった。


レースの折り返し地点ではサード集団まで後退してしまったが、
ここで起死回生のサーマルをヒットして、
一気に雲底まで上げなおす事に成功した。


更にスピードが遅いことが幸いして、
グランドに出来たコンバージェンスの上を高度を落とさず
フカフカと飛ぶ事が出来たので、
低く行って低高度をのた打ち回っている
セカンド集団に追いつくことが出来た。


この難関をクリアーすれば、
後はリッジ(岸壁)をひたすら真っ直ぐ飛べば良いだけである。
ここでも、また抜かれてしまったが、
もはや仕方の無い事と割り切っていた。


最後のファイナルグライドは、
二段目のアクセルを無理やり踏んで飛んだが、
めちゃくちゃ重くて、蛇行してしまうし、
3分間踏んでいるのがやっとだった。


ゴールして直ぐにアクセルを修理したのは言うまでもない。
トルステンとアクセルシステムについて話したが、
川地が取った方法による結果が以外だったようで、
「とても興味深い結果だ」と言っていた。
ワールドカップの後、フランス人パイロットに頼んで
オープン大会中に新しいライザーで試してもらうそうだ。