動き出した 「時」 | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<大学病院>

面会時間は午後だ。

ワイフは仕事が山積しているようだったが、

疲労が蓄積していたことや仕事が手につかないということで会社を休んだ。

家に二人だけで居るのは久しぶりだが、

会話はするものの、何だか味気ない。

二人の間では昨日から「時」が止まったままだった。


翔の長期入院に備えた準備をして、川地の仕事を済ませ、

お昼の食事をした後に、少し早いが出かけた。

銀行へ行ったり、買物をするためだ。



面会時間が近付いたので、病院に向った。


ICUに入ると翔は昨日と変わらず、グッタリして眠っていた。

でも、酸素マスクは外されていた。

「これから、翔はどうなってしまうのだろう・・・」

とワイフと共に途方に暮れていると、看護婦さんがやってきた。


看護婦:「翔君のご両親ですか?」

     「翔君はだいぶ良くなりまして、今、お昼寝中です。」 (^з^)

カワチ:「・・・、お昼ね?」 (  ゚ ▽ ゚ ;)


看護婦:「ええ、お昼ご飯も全部ではないですが食べましたし・・・」

     「そういえば、ヨーグルトは好きですか?」

     「パクパク食べていましたよ!」 (^з^)

カワチ:「ええ、ヨーグルトは大好物ですが・・・」 (・・。)ゞ


ワイフ:「じゃぁ、薬で寝ているのではないのですね!?」  ヾ( ̄0 ̄;ノ

看護婦:「お昼ご飯も体を起こして、食べていましたよ!」 (^з^)


しばらく会話をしていると、私たちの声に気が付いて、翔が目覚めた。


ショウ:「ウ~ン、よく寝た・・・?,?,?」   Oo。。(⌒¬⌒*)/

     「・・・」

     「ここ何処だっけ? あれ? パパとママがいる?」 ホヶ ヽ(゚ 0 ゚ )ノ


私とワイフの中で止まっていた秒針が動き出した瞬間だった。

最初は寝ぼけていたものの、時間が経つにつれて

意識がハッキリしてきたのか、体を動かし始めた。


初めは持っていった玩具で寝ながら遊んでいたが、

体を起こしても良いという事なので起こして、お座りの姿勢で遊ばせた。

まだ力強くは無いが、手で軽く支えてあげれば

座って居られるまでに回復している。


先生の話では、当初の予想を遥かに上回る回復振りで、

心配していた後遺症は検査の結果からは今のところ見当たらないそうだ。

普段の翔を知っている我々から見て、どうですか?と聞かれたが、

勿論、普段と変わりは無かった。


ただ、現在は発作を抑制する薬を点滴で投与しているので、

これを止めた時に再び発症しないか、慎重に行なうそうだ。


それでも、以前と殆ど変わらぬ翔に戻っていた事で、

私もワイフも胸を撫で下ろしたのだった。



昨日は夕食もとらずに深夜に家に帰った

にも関わらず殆ど食欲が湧かなかったが、

今日はしっかりとお腹からシグナルが出ていた。


時間も遅かったので病院の食堂で食事をした。

ここの食堂は少し変わっていた。

普通は、トレーを持つ → オーダー → 受取 → 支払

でもここは、 トレーをカウンターに置く → 離れた所に有るレジで支払

 → 再びカウンターに戻りオーダー → 番号札を受取 → 席で待つ 

  → 運ばれてくる

と何ともややこしくて手際が悪い。


でも、料理は美味しかった! P(〃^▽^〃)o