(費用対効果の方向性)
議論の中間的な整理(費用対効果評価専門部会)(案)
医療分野のイノベーションの進展によって、より高い治療効果等が期待される医療技術が選択できるようになる一方で、高い治療効果等が期待される医療技術の中には費用が大きなものがあるため、これらの増加による医療保険財政への影響についての懸念や費用の大きな医療技術の中には、必ずしも治療効果等が十分に高いとは言えないものがあるという指摘がある。
医療技術の費用対効果評価については、「平成 24 年度診療報酬改定に係る答申書附帯意見」において、『革新的な新規医療材料やその材料を用いる新規技術、革新的な医薬品の保険適用の評価に際し、費用対効果の観点を可能な範囲で導入することについて検討を行うこと』とされたことを踏まえ、中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会を平成 24 年 4 月に設置し、以後計 13 回の議論を行った。検討の内容としては、「制度の基本的考え方」について議論を行った後に、「具体的な評価の運用手法」を「評価手法」と「具体的な評価の活用手法」に分けた上で、取り扱った。
【方向性】
以上を受けて、効果指標に関する取り扱いについては、QALY を用いた増分費用効果比(ICER:incremental cost-effectiveness ratio)を単一の指標とした機械的な運用により保険収載の可否を判断することは行わないことを前提とし、我が国の医療制度や医療現場の実情を踏まえつつ、質調整生存年(QALY)、生存年(LY)、臨床検査値、治癒率、重症度、発生率等を効果指標とする際の運用方法やそれらの組み合わせのあり方等を今後検討する。
また、費用対効果評価においては、効果指標の取り扱いと合わせて、評価(appraisal)において医療技術をどのように評価するのかが重要である。効果指標で捉えきれない医療技術の側面は、評価(appraisal)において勘案することも考慮することを検討する。
【方向性】
効果データについては、幅広に関連する効果データの検索を行う等、網羅性を担保することとする。また、対象集団や診療実態の違い(例えば海外データの場合、医療技術の使用実態のわが国との違い等)等に留意しつつ、原則としてエビデンスレベルが高いデータを優先することとして、今後の検討を行う。
費用データについては、原則として、「単価」は、診療報酬点数表、薬価基準、特定保険医療材料価格基準等を用いることとし、「回数」は、わが国の診療実態を適切に反映していると考えられるデータ(例:「ガイドライン等に示された標準的な診療過程」、「実際の診療を分析したデータ」)を用いることとして今後の検討を行う。
まとめ
医療分野のイノベーションの進展によって、より高い治療効果等が期待される医療技術が選択できるようになる一方で、高い治療効果等が期待される医療技術の中には費用が大きなものがあるため、これらの増加による医療保険財政への影響についての懸念がある。さらに、費用の大きな医療技術の中には、必ずしも治療効果等が十分に高いとは言えないものがあるという指摘がある。また、費用対効果の評価が医療保険上の評価に必ずしも反映されていないという指摘がある。
これらの課題に対応するため、当部会における上記の整理を踏まえつつ、先行する諸外国における費用対効果評価制度の動向や我が国の保険医療制度との整合性等も十分に勘案しながら、具体例を取り上げた検討等を含め、引き続き、医療技術の保険適用の評価に際し、費用対効果の観点を導入することについて検討を行っていくこととする。



















