私の学生時代からの親友で、このblogの読者でもある男に会った。そして飲んだ。よく飲んだ。彼は、私のblogにリクエストがあるという。それは「アナログオーディオについて記せ」、という指令だった。
今はまさにデジタルオーディオ、シリコンオーディオの世界である。そのデジタルオーディオも、黎明期に発売されたSONYのDATが先日販売を終了した。今は、AACやlosslessなどより圧縮率の高いもの、音質のよい変換方式で音楽が楽しめるようになっている。また、SDカードなどの大容量化などメディア技術の進歩も、これに貢献している。
さてアナログの世界だが、私の母校である秋田県立能代高校の音楽室の設備がすごかった。スピーカーはアルテックのA5、アンプはサンスイのものだったように記憶している。ターンテーブルは、当時テクニクスのSL1200と人気を2分していた、DENONのDP1000だった。そしてカートリッジはシュアー(VⅢか?)のもの。これも当時のベストセラーである。
当時の記憶を呼び戻し、私の欲しかったコンポ編成を考えてみよう。 カートリッジはDENONのDL103で決まりだろう。私も実際にこれを使っていた。当時主流のMM型ではなく、MC型だったため、昇圧トランスを必要とした。針交換もできず、本体交換になっていたものだ。
ターンテーブル(レコードプレーヤー)は、同じDENONのものがマッチングはいいはずだが、トルクの強いダイレクトドライブのテクニクス製が好みだ。30年前はベルトドライブのプレーヤーもまだあった。プロペラ機からジェット機への転換期のようだ(プロペラ機をアナログオーディオに置き換えるならば、レシプロからターボプロップへの移行期と言ったほうが合っているかもしれない)。
アンプはサンスイだろう。A級、B級増幅が選べるのがあったはずである。
スピーカーは誰がなんと言おうとYAMAHAのNS-1000Mである。このスピーカーの音の艶っぽさは素晴らしかった。目の前に本物の楽器があるような臨場感があった。ジャズ系ならJBLの4343あたりか?。
余談だが、私のいきつけである西中洲のバーには4343がある。アンプはサンスイだ。ここのオーナーとオーディオ談義にはまり、気づいたら朝の5時だったことがある。窓越しに那珂川の川面に映える中洲のネオンが見え、きれいだった。
デッキは、当時は音質を追及するとオープンリールという選択になった。メーカーはTEACやAKAIだろう。「サンパチ・ツートラ」というテープ送り速度が38cm/sec、2トラックのデッキが最高峰と言われた。
人間の耳の可聴周波数は20~20,000Hz以内であるという。デジタル機器はきっちりこの周波数の幅で音を切っている。しかし、実際の音はその周波数の何倍もの高い周波数と組み合わさっている。
聞こえないはずの音が、何かを醸し出していたのである。これがアナログオーディオが愛される所以である。「無駄の効用」とも言える。
無駄がなくなった現代はなんとも味気ないものだ。便利さと引き換えに失っているものもあることを、このコラムを書いて再認識した次第である。