目の前に開かれた門は容易く潜り抜けられるけど
手入れの行き届いた広大な迷路のような庭と
入り組んだ廊下と階段、幾つもの部屋があるお屋敷
一度迷ったら出られないのだと不安を煽り
門は大きく開いているのに
踏み込む事を躊躇させるには充分過ぎる程の圧倒感
皆興味津々に覗くだけ
先を行く者も後に付いて来る者も居ない
ふらふらと足を踏み入れた私を笑う?
ごめんね
私には道標が見えるの
このお屋敷の御主人から
とても丁寧な招待状を戴いているの
皆にはきっと見えないでしょうね
本当は門まで迎えに来ているあの人の姿は…
それではご機嫌よう
お先に失礼
手を取った瞬間に囚われ呑み込まれ消えて
噂通り出られない
ただ違うのは
私は迷ったのでは無いと言う事
自分の意思で此処から出たく無いだけ
繋いだ手もそのまま
甘く囁く声に溺れ
幸福の瞬間
時間を止めて永遠を手に入れる
ほら、
庭の薔薇も昨日より一層美しく咲き誇っている…