零れ落ちたそのひとしずくは
差し出した手をするりとかわし
冷たい満月の夜この地に落とされた
託された想いに
気配だけは残して生まれ変わる
美しくも儚いその姿
憂いを湛えて哀しげに微笑う
その声は柔らかな雨音にも似た響き
冷淡と優しさを併せ持つ不安定な心に
強い意思への安心と注がれる愛情
崩せないバランスに
密やかなる嫉妬の花を
分け与えられた英知と使命
あなた自身の涙は何を孕んでいるのか
一度だけ囁かれたあなたの言葉
許された二度と言えないわたしの言葉
もう憶えてはいないでしょう
気が触れそうな程の歓喜を必死に隠した夜を
あなたは知らないでしょう
月の満ち欠けと共に
絶望と希望が繰り返す
せめて安らぎの中でと願わずにはいられない
あの日と同じ満月の夜