前回、重要文化財の立派な旧遷喬尋常小学校をご紹介しましたが、

今回も小学校です。

鳥取県岩美郡岩美町にある、旧岩井小学校舎です。

 

岩美町は温泉地です。

 

岩井温泉 | 岩美町観光協会 - 海・山・温泉をまるごと味わえる町 (iwamikanko.org)

 

岩井温泉は、1200年の歴史を誇る山陰最古級の温泉です。

頭に手ぬぐいを乗せ、ひしゃくでポカポカと湯を叩きながら

汲んでは頭にかむる珍しい風習「湯かむり」が伝えられています。

湯かむりは江戸時代末期から始まったとされ、

少しでも長く湯につかり温泉の効能にあやかるためとも言われています。

 

※岩美町観光協会サイトより

 

いいところでしょう。

 

 

岩井小学校の周りには、旅館や共同浴場もあります。

 

 

 

 

この旅館は今はギャラリーになっているようです。

植物に侵食されていますね笑い泣き

 

岩井温泉街に軒を連ねる老舗旅館 花屋旅館(現在は休業)の

敷地内にある、かつて岩井温泉の西方寺で生まれた文豪、

尾崎翠の資料館です。

尾崎翠は、大正時代のわずかな期間のみ筆をとり活躍した作家ですが、

その感性・表現力は太宰治などの今日でも有名な文豪たちから高い評価を受けました。

※鳥取市観光サイト 尾崎翠資料館ゆかむりギャラリー

 

この時はわからず。入れたのかな。

 

 

こちらは立派!

 

 

卯の毛通しが亀!ポーン

 

 

おお!いいプレート、見つけた!

 

 

 

こんなのどかな温泉地の岩美町に岩井小学校はありました。

 

 

 

ここを知ったのは、私が好きなNHK BSの番組、

火野正平さんの『にっぽん縦断 こころ旅』で

旅の途中で正平さんがちょっと立ち寄ったからです。

 

この小学校の映像を見た瞬間、心惹かれました。

え、どこって?鳥取?

鳥取に行く機会を作って、ぜひとも見に行きたいと思ったのでありました。

 

岩美町保護文化財に指定されていたようですが、

残念ながら、もう修復は不可能なまでの廃墟でした。

 

明治25年築。

いわゆる擬洋風建築であり、とくに正面外観意匠には、

進取的に洋風技術をはかった大工と棟梁の豊かな創造性と

腐心の跡がうかがわれる。

 

明治時代の洋風学校建築としては、県下随一の遺構であり、

明治初期の擬洋風建築の系統をひく、数少ない建物として極めて貴重である。

 

※現地案内板 抜粋

 

ネット情報によると、

小学校としての役目を終えたあとは、

村役場、アパート、工場など様々に活用され、

最後は民間企業の倉庫だったのかな。

 

 

現在の旧岩井小学校の姿をお届けします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう屋根がありません。

 

 

今までの改修により、内部はもう学校としての面影はないようです。

 

正面だけ見ると、まだ修復の余地があるのでは、と思いましたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2階軒にバージボードがついています。

胴蛇腹もデンティルの装飾があり、素敵。

筋かいの装飾に、あれは何の花かな。

お多福窓も趣あります。

 

 

下見板張りに上げ下げ窓。

外にも中にも植物が生い茂っています。

 

 

胴蛇腹に持ち送りが見えますね。

 

 

裏側にも回ってみます。

教室の窓でしょう。

 

 

入母屋破風に懸魚。

 和洋折衷ですね。

 

素敵な美しい校舎です。

 

私は廃墟好きです。

見つけると、うっほー!とテンションがあがります。

でも、岩井小学校を実際見てみると、他の廃墟とは違い、

悲しい気持ちになりました。
 

かたや、重文の遷喬尋常小学校。

かたや、町指定の文化財。

お金のかけ方も規模も、いろいろ条件が違いますが、

同じ明治時代の擬洋風の小学校として、

これだけ美しい建築が滅びていくのは……。

部外者の私が事情も知らずに言うのもなんですが、

悔しいですね。