夫は、エコーをまだ一度も見ていなかったから…
あと、奇跡が起きて、赤ちゃんが生き返っていないかと、一縷の望みを捨てていなかったから。
機械を別の部屋から用意してもらい、夫は初めて赤ちゃんの姿を見た。
…やっぱり奇跡なんて起きていなかった。
動かない赤ちゃん。
プカーっと浮かんでいるような格好で…
これで、見納めなんだなぁ
目に焼き付けた。
夫は顔を歪めて泣きたいのを我慢してるようだった。
でも、腹を括らなきゃいけない、時間はどんどん過ぎる。
泣きたいのを堪えて、ラミナリア挿入。
最初グリグリ掻き回されるような処置があって、その時だけ痛みがあった。
でも先生が上手なのか、挿入時の痛みはほとんど無く拍子抜けするぐらい。
そのまま病室に戻って、子宮口が開くまで夫と待機した。
二人部屋だからあまり話せなかったけど、そこにいるだけで良かった。悲しみを共有できる人がいるのが有難かった。
3時間ほど経った正午前、子宮口チェックが入る。
もう十分開いていたようで、そのまま車椅子で手術室に運ばれた。
手術台の周りでは、何人もの人がテキパキと準備してくれていた。
コンタクトもメガネも取っていたから、すべてがぼやけて夢を見てるみたい。
手術台の上で、指や脚に色んな器具をつけられている間、怖さと悲しさ、寂しさがピークに。
涙がこぼれる度に
看護士さんがティッシュで拭いてくれた。
そして、全身麻酔の直前。
東京衛生病院はキリスト教の病院ですから、と前置きされた上で、短いお祈りの時間があった。
「アーメン」で祈りの言葉が結ばれ、
麻酔が入ります、と声をかけられた後の記憶はない。
すぐに意識が飛んだようだった。