Dr.誠です。

国民一人当たり10万円の給付金、先週半ばに書類が届き早速申請したところ、昨日振込確認の書類が届きました。書類は圧倒的に早いようですね。そしてもう一つの目玉政策だったマイナンバーでの申請、こちらは報道をみる限り全然役に立っていません。これを機に広めたいという政府の思惑が見事に外れた格好です。さらに今後、銀行口座との紐づけのための法案提出や、健康保険証と一体化する方向で話が進んでいるそうですが、私はともに絶対反対です。後者について言えば、そんな個人情報の塊のようなもの、医療機関が扱うのは危なっかしくて仕方ないからです。保険証や診察券の渡し忘れすら起こりえるのに。




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さて今日はお金の話。皆さんにぜひ知っておいてほしい数式があります。国の豊かさの一つの指標である、『GDP』(Gross Domestic Product=国内総生産)の計算式。これ、社会人の常識と言われていますが、なぜかと言えば、それは我々がこういう危機の時に『政府からちゃんとお金をもらうための根拠』として、知っておかないといけないからです。4-6月期のGDPが年率換算で20%以上落ちると言われている今、日本から失われるであろう富は100~200兆円に及ぶわけです。2019年の消費税増税の悪影響を考えればもっとかもしれない。コロナ以前の今までの社会の豊かさを『維持』するためには、どれぐらい『政府が補填』しないといけないのか。それが下の数式でわかります。

【Y】国民所得(GDP)100%
 =【C】民間消費 60%  コロナで×
 +【I】民間投資 15%  コロナで×
 +【G】政府支出 24% 【★ここが大切】
 +(【X】輸出―【M】輸入)1% コロナで×

政府統計からその割合も引用してきました。日本は『貿易立国』というイメージが強いですが、実は立派な「国内消費」の国です。昭和の時代は経済循環が国内でもちゃんとうまくいっていた。みんなが国産車を買い、みんながローンを組んで住宅を建て、みんながそれぞれの地域文化産物を楽しみ、国内で上手く経済が回っていた。それを阻害してきたものこそが、取引抑制税である『消費税』と、労働者・労働者活動が弱体化したことによる『労使分配率』の悪化です。庶民にカネが回らず、グローバル化による資本の強大化や非正規雇用が増えたことで、庶民は富を失い、日本国内でお金がどんどん回らないようになってしまった。

消費されなければ投資も行われない。さらに「財政赤字で日本が破綻する」という根拠のない妄信のために、ひたすら緊縮財政を敷いてきた。これでは日本が豊かになりようがないわけです。私が労働運動をひたすら煽るのも、労働者が『強く』なることでしか社会が前に進んでいかないからです。(財政破綻論については2020年1月あたりのエントリを参照ください)

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【Y】国民所得(GDP)
=【C】民間消費
+【I】民間投資
+【G】政府支出
+(【X】輸出―【M】輸入)

もう一度この式の話に戻ります。具体的に式で考えてみます。度重なる消費税増税で【C】民間消費と【I】民間投資が減り、さらに誤った財政観を基に緊縮財政で政府自身が【G】政府支出を減らしてきた結果、【Y】国民所得が全く伸び悩んできていたわけです。そこに今回、コロナショックで【C】民間支出と【(X-M)】純輸出が極端に落ち込んだ。600兆円と言われている日本のGDP【Y】が400兆円台にまで下がりそうな勢いの今、我々はいったいどうすればいいのか。

最低限元々のGDP600兆円社会を維持するためには、動かせない民間の【C】や【I】や【X】ではなく、今こそ【G】=「政府支出」で「+100兆円以上」の埋め合わせをやるしかないんです。Governmentの【G】。その財源は政府にしかできない『貨幣の発行』=『信用創造』=赤字国債で補填すればいいんです。こういうときのための通貨発行権。こういうときのための政府。それをやろうとしていないのが今の日本政府なんです。国民を守ろうなんていう気がさらさらない国が、日本なんです。

よく言われる『国の借金』は国民のものではなく『政府』の借金だし、自国通貨建ての日本政府が赤字国債をいくら発行しようが、過度なインフレでない限り破綻するはずがないんです。金利が低いデフレで破綻するはずがない。だったらひたすら政府の『借金』を膨らましてでも、今を生きる国民を救えばいいんです。ドルのアメリカも元の中国も、自国通貨発行権を持っている国はその事実を可能なこと知っているからこそ、MMT(現代貨幣理論)的事実を知っているからこそ、あれだけ大胆な手が打てているんです。

コロナで社会は2019年10月の消費税10%増税後よりもさらに一層ひどいことになりましたが、そのことによりかえって、平成以後日本が一向に豊かにならないその犯人が見えやすくなったように思います。政府です。歳出を削り続けた政府なんです。必要なときにすらお金を出さない政府なんです。まずは【G】です。【G】を出させましょう。我々に、さらに毎月、10万出させましょう。家賃補助もきちんと出させましょう。今の超デフレ下の日本政府にはやれるし(過度のインフレにならなければ赤字国債はただの通貨発行記録に過ぎません)。今やらせなきゃダメなんです。『政府支出』が必要です。『財政出動』が必要なんです。 我々を守るための数式、そしてMMT。是非知っておいてください。


▼参考)
MMTのわかりやすい入門書

中野剛志『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』
https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/4584138958/ref=tmm_hrd_title_0?ie=UTF8&qid=1590184420&sr=8-6