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シンガポールで仲良くしている日本人の友達。


もう3年以上の付き合いになるのに、

最近、初めて知ってしまったことがある。

正直、かなり驚いた。


え。

あなた、そういう人だったの?

と、一瞬言葉が出なかった。


その人とは、

時々ランチをしたり、

お茶をしたりする仲。


話すことといえば、

子供のこと。

学校のこと。

旅行のこと。

シンガポール生活。

スーパーの野菜が高いこと。

日本の果物が高いこと。

日本に帰ったら何を食べたいか、ということ。


本当に、

ごく普通の会話ばかり。

だから私は勝手に、

「シンガポールで出会った、

感じのいい日本人の友達」

くらいに思っていた。


ところが先日、

別の人との会話で、

彼女の名前が出た。

その人が、何気なく言った。

「え、知らなかったの?

あの人、日本ではかなり有名な起業家だよ」

……え?

一瞬、意味が分からなかった。


あの人が?

あの、いつも普通に笑っている人が?

一緒にカヤトーストを食べていた、あの人が?


あとからネットで調べてみて、

さらに固まった。

会社を立ち上げ、

知る人ぞ知るサービスを作り、

メディアにも出たり、

大企業との仕事もしていた人だった。


私、そんな人と普通にランチしてたの?

でも一番驚いたのは、そこではなかった。


彼女が、

そんなことを一度も自分から言わなかったこと。3年以上も。

何度も会っていたのに。


少しだけ本人に聞いてみた。

「もしかして、すごい人だったの?」

すると彼女は、少し笑って、

「いや、もう昔の話だよ」

とだけ言った。


そしてすぐに、

「それより、この前言ってたお店行った?」

と、いつもの会話に戻った。

その自然さに、

なんだか感動してしまった。

本当にすごい人って、

自分を大きく見せないのかもしれない。

肩書きを持ち込まない。

実績を語らない。

過去を名刺にしない。


ただ、

目の前の人と、

普通に笑って、

普通に話す。

それができる人って、

すごく強い人なのだと思う。


人は、

見えている部分だけでは分からない。

何気なく隣でコーヒーを飲んでいる人が、

実はものすごい挑戦をしてきた人かもしれない。

とても驚いたけど、

とても感動した。

肩書きよりも、

語らない強さ。

そんなものを、

静かに見せてもらった気がした。