Re;再会 《後編》 5 | 向日葵の宝箱

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まじっく快斗・名探偵コナンの小説を中心に公開しています。
快青大好きですが腐ではないコナンと快斗の組み合わせも大好きです!
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「とりあえず現状としてはこんなところだ。」
話し終えたコナンがそう口にすると、ルルーシュは目を開いて顔を上げた。

「なるほど。」
そう応えると、ソファーの背もたれに深く腰掛けて胸の前で腕を組んだ。

「以前俺達がこの世界に来てから、俺達の世界では3年ほどの月日が経過しているが、こちらの世界ではまださほどの月日は経過していない。にも関わらず、急激に世界情勢は変化し始めている・・・という事だな。」
「ああ。」
応えると、快斗はタブレットを取り出し、WEBブラウザで検索したページをルルーシュの前に差し出した。
それを見ながらコナンが再び口を開く。

「日本を防衛し、基地も置いている世界の警察と呼ばれていた大国が以前ほどの力を無くしている。代わりに、社会主義体制の大国が勢力を伸ばし、近隣国に圧力を掛けたり、北側の大国もかつての支配国に軍事進攻して戦争が勃発。その影響により、エネルギー問題なども起こり、経済も含めて混乱している状況だ。」
「そうか。」
頷いたルルーシュが読み終えた画面をスライドさせると、ふとある記事に表情を険しくした。

「これは?」
タブレットをテーブルの上に置いたルルーシュに快斗とコナンがそのディスプレイ上の記事を見て目許を鋭くする。
「これも最近になって起きた戦争だよ。」
「ああ、これは歴史と宗教の問題が絡んでるから。問題が根深くて複雑なんだ。」
「なるほどな。」
応えたルルーシュは息を吐いた。

「まず今一番問題なのは、今俺達の世界にいるギアスユーザーの力がまったくわからない事だ。ゆえに、いつからどの範囲までその力が影響を及ぼすものなのかというのが全くわからない。だが、少なくとも、ごく短期間での世界情勢の悪化。可能性の一端ではあるが、異次元世界との同一化が原因として根底にある可能性は否定できない。」
そう言うと、ルルーシュは隣に座るスザクに横目で視線を向けた。

「なんせ俺達の世界は、かつてのブリタニア皇帝が差別と競争、世界の不平等こそ、進化の力だとふざけた主張をぬかしていた輩だからな。」
語調を強めたルルーシュにスザクが掌を強く握ると無言で頷く。

「俺とスザクは俺自身の・・・。悪逆皇帝ルルーシュの死をもって戦争を終結させた。だが、その平和もまったく争いのない期間は結果的に1年で終結した。」
「そうか。」
頷いたコナンが目の前のルルーシュを見つめる。

「まあ、その理由もお前ならわかるだろ?」
「ああ。」
応えたコナンにルルーシュはフッと息を吐いた。

「だが、何にせよ、戦争という問題についていくつか確実にいえる事がある。それは、戦争を指示するトップの人間は大抵その砲弾の絶対に当たらない場所で安全が確保された状態で現場の兵士達に指示を出しているという事。そして、それにより最も被害を被(こうむ)るのは、日々を平和に生きていたはずの人々、民衆だという事だ。」
「そうだね。」
頷いたスザクは瞼を伏せると、数瞬の間唇を強く結んだ。
そんなルルーシュとスザクを見つめていた快斗が言った。

「それで、これからどうする?」
「そうだな。」
ルルーシュは再びテーブルの上のタブレットを手にすると、先ほどのブラウザの画面をタップして送りながら、口許に手をあてて視線を落とした。

その時。

「黒羽。」
「なんだよ。」
呼びかけたルルーシュに快斗が応える。

「これはお前か?」
そう言ってルルーシュが快斗に向けたディスプレイの画像。

白いマントにシルクハット。
月を背にハンググライダーで空を飛ぶ白き怪盗。

それはかつて快斗がキッドとして活動していた頃、メディアが撮影したのであろう写真の一枚だった。

「ああ。まあ、昔の写真だけど。」
「昔っていってもまだ何年も経ってないだろ?」
微笑して横目でそう口にするコナンに快斗は頷く。
「そうだな。まあ、答えとしてはYESだよ。」
「そうか。」
応えるとルルーシュはタブレットを取許に置きながら口許に指先をあてる。

「その『怪盗キッド』というのはずいぶん人気があるようだな。」
「ハハハッ・・・。」
苦笑いを浮かべる快斗を横目に見てコナンが答える。

「こいつが活動をやめてから死亡説も流れて。一旦その人気も落ち着いてたんだけど。最近になっていろいろあってな。盗みをせずに人助けをする怪盗紳士・・・って事で。今またその人気が再燃してるところだよ。」
「なるほど。そうか。」
そう言いながらルルーシュは、これは使えるかもな・・・と。
口許で小さく呟くと顔を上げた。

「とにかく、話は理解した。次の段階として、この世界の現状を実際に見てみたい。出来れば高い場所から遠くを見渡せる様な場所がいいのだが。」
「それなら、僕がこの前快斗に連れて行ってもらったタワーはどうかな?」
「ベルツリータワーだな。」
応えた快斗とスザクの顔を交互に見てから、コナンが大きく目を開いた。

「待って。良い事思いついたから。」
そう言うと、コナンはその場から駆け出して廊下へ向かった。
それからしばらくして戻ってくるとニコニコして顔を上げる。

「ヘリを借りてきたから。それで、今からヘリポート場まで迎えに来て連れて行ってくれるって。」
その言葉に快斗が苦笑いを浮かべる。

「名探偵、それってもしかして園子ちゃんちの・・・?」
「ああ。」
応えるとコナンは快斗に笑いかけて言った。

「ついでに蘭も連れてきてくれるから。彼女は蘭に預けていけばいい。」
その言葉に快斗が大きく目を開いた。

「名探偵・・・。」
「一人残していくのは心配だろ?」
その問いかけに快斗は笑みを浮かべ応える。

「ああ、ありがとな。」
応えた快斗にコナンが頷く。

「それでは、活動を第二段階へ移行する。」
そのルルーシュの言葉に、快斗達も深く頷いていた。