Re;再会 《後編》 4 | 向日葵の宝箱

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まじっく快斗・名探偵コナンの小説を中心に公開しています。
快青大好きですが腐ではないコナンと快斗の組み合わせも大好きです!
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「だが・・・。」
そう口にしたルルーシュが再び目許を険しくする。

「そうなると、俺達は、時空を歪めんとする、ギアスの超絶対的な力に、生身の俺達だけで対処する事になる。」
ルルーシュはそう言うと、視線をコナンに向けてたずねた。

「お前にも一応聞いておくが・・・。」
「必要ねぇよ。」
ルルーシュが言い終える前に答えたコナンにルルーシュが口許を上げる。
「その答えももちろん想定内だ。だから『一応』と前置きしただろ?」
「わかってるなら聞くなよ。時間の無駄だろ?」
その会話を聞いていたスザクが掌を丸めると口許に手をあてて笑った。

「スザク、お前・・・。のんきに笑っているところか?」
「いや、だって・・・。ねぇ、快斗。」
呼びかけられた快斗が苦笑して頷く。
「ああ。なんか、お前らと話してると、超絶世界の危機・・・って感じがしねぇから。」
それを聞いたルルーシュが大きく溜息を吐く。
「まったくお前らは・・・。」
そんなルルーシュを見てスザクが微笑を浮かべながら言った。

「ルルーシュ。確かに僕達は今、未知なる異次元の正体もわからないギアスの力に、僕達だけで生身で立ち向かわなきゃいけない、とても大変な状況かもしれない。」
そう言うとスザクは掌を握った。
「確かに君はギアスの力を失った。だけど僕は、以前の君よりもずっと今の君を信頼している。」
「スザク・・・。」
呼びかけたルルーシュにスザクが微笑む。

「快斗が言ってただろ?誰かを守りたい。大切な誰かと繋がっていたい。その想いは何よりも強い力だよ。」
「スザク・・・。」
「そうだよね、快斗。」
「ああ。」
柔らかく笑いかけるスザクに快斗は微笑して頷く。

「ギアスを受け取らないと決めた。快斗、君のその選択は間違っていないよ。もちろん、コナン君も。」
スザクはそう言うと、長い両手の指先を強く握りしめてルルーシュを見つめる。

「ルルーシュ。その事をここで。この世界で証明しよう。」
「スザク・・・。」
呼びかけたルルーシュにスザクが再び微笑み、快斗とコナンに目を細める。

「快斗もコナン君も、君のギアスを受け取らなかった。その選択に間違いはなかった。ギアスなんかなくても、大切な人達を守りたいという強い想いの力があれば、世界はきっと良い方向に変えていける。」
そう伝えたスザクにルルーシュがフッと笑みを浮かべる。
「ああ、そうだな。それこそが・・・。今、ここにいる俺達の使命なのかもしれんな。」
「うん、きっとそうだよ。それに・・・。」
そう言いながらスザクがルルーシュの目の前に立ち、右手を差し出した。

「今こそ、本当に。何も持たない僕と君で、世界に戦いを挑む事が出来る。僕は、それを心から嬉しく思うんだ。」
そう告げたスザクに、ルルーシュは一瞬目を大きく見開くと、楽し気に口許を上げてスザクの手を取る。
「ああ。過去に時計の針を戻すつもりはない。だがお前はあの時言った。」
「僕とルルーシュが組めば、奇跡だって起こせる。出来ない事なんて何もない。」
その言葉にルルーシュが頷く。

「ああ。だが、そんなの子どもの頃の夜伽話の様なモノだと思っていた。世界はそんなに優しくない。」
「うん、僕達は存分にそれを思い知った。そして今、ここにいる。だけどルルーシュ。ここには快斗もコナン君もいる。」
「そうだな。」
応えるとルルーシュがわずかに眉間にしわを寄せながら快斗達に視線を向けた。

「今もこの世界は悪意を持つギアスユーザーにじわじわと気づかぬうちに浸食されつつあるのだろう。だが・・・。」
言いかけたルルーシュが快斗とコナンの顔を交互に見つめると、目許を緩め笑みを浮かべる。
「不思議と、俺は。俺達が、負ける気がしない。」
「うん。僕も、そう思うよ。」
応えると、スザクは快斗とコナンに向かって笑いかけた。

「ルルーシュと僕。それに快斗とコナン君。僕らの力で、必ずこの世界を守ろう。」
「スザク・・・。」
呼びかけた快斗にスザクが微笑む。

「きっと、それは不可能な事じゃない。だって、僕達がみんなここにいるんだから。」
そのスザクの言葉にコナンと快斗はお互いを見つめ合う。

「世界一の名探偵と・・・。」
「世界一の怪盗に・・・。」
声を掛け合ったコナンと快斗が視線をルルーシュとスザクへ移す。

「それにスーパーコンピューターを超える頭脳を持つ大参謀と、次元を超えてきた世界一の戦士がここにはいる。」
声を合わせたコナンと快斗は再び顔を見合わせる。

「この状況で、負ける要素が見あたらねぇな。」
「そういう事♪」
口許を上げるコナンに、語尾を上げて笑う快斗。
そんな二人を見て、スザクとルルーシュも深く頷き合う。

「それでは、俺達が勝つ。その事実は既に決定事項だ。」
ルルーシュの声に快斗は唇を強く引くと頷いて顔を上げた。

「必ずこの世界を守る。そして、手を出してきたギアスユーザーには、わが身の愚かさをとくと味合わせ、自らの行いを後悔させてやる。」
「ルルーシュ・・・。」
そのルルーシュらしい淡々とした響きながらも、少々過激な発言に、スザクがわずかに苦笑を浮かべる。
だが、ルルーシュは真剣な顔で告げた。

「その為に、今から作戦会議を始める。」
おそらく彼の中では、全世界へ宣戦布告を告げたのであろうルルーシュにスザクが深く頷く。

「まずは快斗、それにコナン君。僕達にこの世界の事を教えて。」
「ああ。すべて話せ。塵一つ残らずすべてだ。まずは戦いを始めるには正確な情報が必要だ。そして、地の利を知る事。」
ルルーシュはそう言うと軽く息を吐いた。

「黒羽、それにコナン。世界情勢、経済、政治、何でもいい。お前達が知るすべてを俺に話してくれ。」
リビングのソファーの将棋盤の前に腰掛けるルルーシュは膝の上で前かがみに両掌を組んで顔を上げる。
そして、ルルーシュの隣にスザクが座り、その正面に快斗とコナンが並んで座った。

「わかった。すべて話す。この世界のすべてをな。」
応えると、口を開き語り始めたコナンに、ルルーシュは軽く瞼を伏せる。
その瞼の裏に、この世界を思い描く様に。

そして、時折目の前にある駒を動かし、軽く質問を加えながらも、じっとコナンの声に静かに耳を傾けていた。