東京大学入試国語 2017年の記述問題解答例です。

文理共通第一問 伊藤徹『芸術家たちの精神史』(与えられた困難を……)


(一)人間が開発した科学技術だが、それ由来の新課題の解決にも新たな科学技術が必要で、人間の意志を無視して自律的に発展し続けてしまうこと。
(二)科学技術自体は、因果律に則った客観的知識の集合体に過ぎないが、その可能性を利用するかどうかの主観的価値判断を人間に強いるということ。
(三)科学技術の発展で生まれる具体的状況に対する人間の判断は、論理的な根拠を欠く以上、容易に変化し得る不確かなものだから。
(四)客観的な裏付けに欠ける、主観的な価値判断という一種の虚構に基づいて生きるのが人間であるが、テクノロジー自体は価値中立的でも、その自己展開的な進歩に伴い、従来、制御不可能なために判断不要だった領域にも価値判断を迫られるようになったということ。
(五)耐性 救済 余儀


文理共通第二問 紫式部『源氏物語』(二月にもなりぬ……) ※(二)(四)は文系のみ


(一)

ア いい加減ではないことだけれど
イ どうして申し上げられようか、いや申し上げることはできない。
オ あなたを慕わしく思い出さないだろうか、いや思い出す。 ※しのば=偲ば
(二)玉鬘の、嫁いだ以上、実の親でもない光源氏との再会は無理だとの嘆き。
(三)右近が、光源氏と玉鬘の仲について義理の親子以上の仲を疑っている。
(四)玉鬘が、光源氏への返事を、よそよそしい礼儀正しさで書いた。
(五)叶うはずのない相手に恋をして、みずから煩悶する羽目になる人。

 

 


文理共通第三問 『賢奕編』(斉奄家に一猫を畜ひ……) ※(二)は文系のみ

(一)

a 虎よりも霊妙である(優れている)
b 浮いた雲を用いる
e 雲猫と名付けるほうがいい。
(二)虎、龍、雲より上の風をも阻む壁こそ、優れた猫の名に似合うから。
(三)塀は穴をあける鼠をどうできようか、全くどうしようもない。
(四)猫より上を求めて猫に戻ったように、猫は猫で、本質を見失うべきでない。


文系第四問 幸田文「藤」(住むところに多少の草木があったのは……)


(一)子供の気に入る木を与え、自己責任で自由に世話させたり、木の葉当てを出題したりと、植物に興味を持つよう積極的に働きかけたこと。
(二)覚えが悪く父の植物の問いも楽しめない筆者は、賢い姉が楽しみながら父を喜ばせる姿に、交じれない疎外感と羨ましさを味わうこと。
(三)父の働きかけを機に、植物を主体的に観察することで、一般的な子供の遊びにはない、五感で味わう身体的感動があったから。
(四)植物を教えてくれた父と二人きりで、見たいと願っていた美しい藤のある光景に五感で没入した時間に、満ち足りた幸福を覚えたこと。


 

※これは国語講師・吉田裕子が個人的に作成したもので、出講先の組織的な見解ではありません。

 

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