東京大学 2022年 吉田解答例

 

他の模範解答と合わせてご参考に!

東京大学2022年第1問(鵜飼哲「ナショナリズム、その〈彼方〉への隘路」『まつろわぬ者たちの祭り』)


(1)日本人の一体感が強まる国外であり、己の寄生も許容されるだろうと甘く想定した点で、筆者は同胞に甘え意識を持つ日本人らしい存在だったこと。(67字)

(2)中流幻想の一体感が崩れ、階層分化が進む中、日本人の中でも異質者を排除し、その排他性を外国人にも向け、民族的自覚を高めつつあること。(65字)

(3)生物の出生という元来の自然の観点では単に人間が一人生まれるというだけで、国籍や民族など出生による帰属は人間の作為に過ぎないこと。(64字)

(4)日本人は民族意識に甘え、自身は国民集団内で排除されないと想定するが、そもそも出生に伴う帰属集団の区分は人為的で常に変更の可能性に曝され、日本人が民族集団内でも排外性を発揮して統合してきた以上、誰もが異質な存在として集団から排除されうること。(120字)

(5)緩んで 滑稽 深長

東京大学2022年第2問(浜松中納言物語 巻第一)文系解答 ※理系は(三)(四)がない

(1)そうはいってもやはり言い出すことはできず、どうしようなく切ないが
  わきまえて自制する / やはりとても痛切で気持ちの晴らしようもない時節である
(2)あなたと私との逢瀬は幻のようなもので、逢ったうちに入らない。
(3)日本の母や恋仲の姫と離れたことについて、自分の決断だが、大変辛いと思った。
(4)日本に戻れば、中国にいる后とは二度と会えないので、名残惜しいから。
(5)態度もそこまで薄情でなく、二人の間に「若君」も生まれているから。

東京大学2022年第3問(呂氏春秋)文系解答 ※理系は(二)がない

(1)馬を脅す手段(馬を威嚇して従わせる方法)/民衆はいっそう役に立たなくなる
   /脅すことはなくてはならないが(威嚇は必要ではあるけれど)
(2)民を脅すばかりの不出来な支配者は、馬の制御法を学ばず殺してばかりの御者と似ているということ。
(3)民衆の制御での威嚇は、料理の味付けでの塩の量同様、多過ぎてはだめで、適度な加減であるべきこと。
(4)民を脅すばかりで愛や実利の精神が失われ、民が機能しなくなったから。

東京大学2022年文系第4問(武光徹「影絵の鏡」『武満徹著作集Ⅰ』)

(1)巨大な火口に圧倒されているうちに、人間の知的意識の外に存在する宇宙の法則の強大さを、ただ眼や耳でただ受け取るだけになったから。(63字)

(2)ケージは火口の威容に圧倒される者を批判したのでなく、自然の意味を言語化したがる知的態度を相対化しつつ風景の一部となっていたということ。(67字)

(3)フランスの音楽家たちは、ガムランの未知の響きの演奏を材料として客観視し、自身の表現論理の拡張に利用しようと考えたということ。(62字)

(4)目に見えない影絵で宇宙と対話する老人に関心や共鳴を覚え、人の意識外の宇宙の力の存在を身近に感じ、芸術的な啓示を得たということ。(63字)
 

 

※これは国語講師・吉田裕子が個人的に作成したもので、出講先の組織的な見解ではありません。