東京大学 2013年 吉田解答例

 

他の模範解答と合わせてご参考に!

東京大学2013年大問1(湯浅博雄「ランボーの詩の翻訳について」(詩人―作家が言おうとすること……)


①テクストの志向は、表現の語り方や形式の面とも一体化した総体として捉えるべきであり、内容面だけに注目するのは不十分だから。
 

②内容面だけに注目し、原文ならではの表現を無視して日本語に訳した結果、むしろ日本語や翻訳者の文体が色濃い別物になるということ。

※不十分だとか別物だとかは言えていても、「日本語作品である」という部分が抜けている解答が多い。
 

③食い違う原語と母語の表現を照らし合わせ、原語独自の表現までも、できるだけ母語としても自然な文章で表そうと工夫すること。

※④との分担がポイントである。
※この対話は完遂される保証はないので(この後に「無限に続く対話」「終わりなき対話」とある)、あくまで試みているニュアンスで終わらせたい。
※ハーモニー、つまり、原語を踏まえながら自国語としても自然という調和状態を目指す点に触れたい。
 

④原語らしい表現を、それと食い違う枠組みを持つ母語に訳する場合、母語の既存の枠組みにないので、新たな表現法を作る必要があるから。

⑤翻訳は、言語とその背景にある文化がそれぞれ異なっていることを前提にした上で、原文を内容面だけでなく、その言語独自の表現面まで尊重し、時には柔軟に自らの側を更新しながら自他の調和を目指す営みであり、異文化を受容・理解する姿勢そのものだから。

a首尾 b逐語 c摩擦 d促 e示唆

東京大学2013年第2問(平仮名本吾妻鏡)文系解答 ※理系は(二)(四)がない

(1)身分の高い人も低い人もどちらも/暗い夜に一晩中降る雨/頼朝様の御命がご無事であろうかということを
(2)頼朝方の繁栄を祈る神前で、静が無礼にも反逆者義経を慕う曲を歌ったから。
(3)平家繁栄下、源氏で流人となっている頼朝と自身の娘が親密になること。
(4)相手が追われる身になろうとも、長年の仲を忘れず一途に愛し続けるさま。
(5)義経への静の心を、不遇時にも頼朝を一途に慕った政子の心に重ねた所。

東京大学2013年第3問(三国史記)文系解答 ※理系は(二)がない

(1)取るに足りない者でさえ前言を撤回しようとしないのだから、まして、あなたのような大変尊い方はなおさら前言撤回しないはずです。
(2)温達でもどこでも公主の臨むところに行けばよいということ。
(3)公主は温達に結婚したい旨を打ち明けたということ。
(4)我が息子は大変卑しく、あなたのような高貴な女性とは釣り合いません。

(5)二人の心が通じてさえいれば、温達が裕福になるのを待たずとも、今すぐ結婚できるということ。

東京大学2022年文系大問4(前田英樹「深さ、記号」(知覚は知覚自身を……)

①網膜による知覚では見えない部分も含めて物を捉えようとする際、その物に関する記憶や一般観念が、無意識下で参考にされているということ。

②意図的な想像や思考でなく、自分の身体が家に対して取り得る行動群の直感的察知によって、不可視部分も含めた家の全体を理解すること。

③実際には世界は絶えず変化しているが、生活上の必要性から、他の瞬間と比べれば止まっていると言える瞬間を静止と見なすということ。

④日頃、世界の変化のニュアンスを経験しているものの、意識していないため、事実として提示されると、世界の未知性を痛感させられるから。

 

※これは国語講師・吉田裕子が個人的に作成したもので、出講先の組織的な見解ではありません。