他の解答例などと合わせて、ご参考までに。

 


第一問 吉田憲司「仮面と身体」
①仮面文化には地域的・民族的多様性とともに共通する特徴があるので、その考察を通じ、人間の一般的性質を明らかにし得るかもしれないこと。
②仮面は、霊媒と異なり、着用者に霊などの異界の力が乗り移ると信じられなくなった後も、変身をもたらす役割を果たし続けていること。
③人格的中心として注目される顔に仮面を着けると、不可視で変化の激しい素顔と違い、可視的・固定的に他者から理解されるようになること。
④仮面は、人智を超えた世界の改変者として期待される異界を可視化し、憑依を通して自分達に取り込む装置であるとともに、人格の中心と見なされるも刻々変化する様を本人のみが見られない自分の顔を確かめ、固定化して統御下に置く装置であるということ。
⑤狩猟 遂(げる) 衝撃

第二問「沙石集」耳売りたること
①お与えください。お坊さまの耳を買おうと思う。
耳だけは良い運命の相がおありだが、それ以外には良い相は見当たらない。
私に代わって、仏事に行きなされよ。
②逆修の仏事も大般若の祈祷もどちらも自分が会得している勤めである。
③尊い僧と見せて布施を得たい中、酒好みは仏道心が薄く思われそうだから。
④神主を死なせた僧に、神主の家族はむしろ謝礼の件なども申しようもなく
⑤耳を売った僧は、楽に高報酬を得ようとする汚い心になったということ。

第三問 「貞観政要」
①従前の歴史書は何曽の件を美談とし
言葉を率直にして
時の政権を補佐する
②劭自身はまだ厄介な目に遭うのを免れることができるだろう。
③何曽の、武帝が長期的な国政を語る気がないので、晋は傾くだろうという子・孫に語った陰口。
④優れた見立ても、国の崩壊後には無価値で、国が倒れる前に王に諫言することこそ重要であること。

第四問 長田弘「詩人であること」
①一人ひとりの具体的な実感や実践の経験に支えられていない、漠然とした社会的理念、理想的志向として流布されるということ。
②社会の既存の言葉を安易に用いず、己の経験から言葉を受容して血肉にする蓄積を通し、自身の個別的理解のもとに言葉を用いること。
③一見皆に共有されるようで実際には誰の経験の裏付けもない、単にそれに与するかで敵・味方を分け、排他的になる空虚な言葉を使うこと。
④同じ言葉も各人の経験から理解・使用している事実を踏まえて言葉を慎重に用い、背景の差異や自身の限界を悟りながら他者と関わること。
 

 

※これは国語講師・吉田裕子が個人的に作成したもので、出講先の組織的な見解ではありません。