吉祥寺 古典を読む会で、共に古文を学んでいるお仲間の梶間和歌さんが、初めての歌集をまとめられました。(おめでとうございます!)
彼女は新古今和歌集や京極派の和歌の息づかいを体得し、単に事実を記録することに飽き足らず、真実の美をめざして詠む歌人さんです。
小説の登場人物、歴史上の人物など、特定の人物に成り代わって詠む連作は、ひとまとまり読むと、ぐったりします(いい意味で)。それは、和歌さんの歌を通じて、その人の物語を生きたような感覚があるからだと思います。
建礼門院右京大夫に成り代わった、「さ夜ふけて面影匂ふうたゝねに死出の山ゆくほととぎす哉」と、展示会の設営・撤去の作業現場の「腰袋カチッと締むるこの音にをんなはガテン系女子となる」が共存する稀有な歌集ですよ。
古典的な和歌にも口語短歌にも通貫しているのは、和歌を基盤とする彼女のことばの感覚です。
「文語の助動詞の語感を、これほど豊かに操れる歌人はなかなかいないのでは?」と私は思っています。
「弁当に着替へも詰めつ紅引きつけふの現場は幕張メッセ」の2回の「つ」の語感とかね。この「つ」は、決して過去の「き」でも、同じ完了の「ぬ」でもダメなのです。
もういくつか、お気に入りの歌を。
- 男より雄々しき君の背すがたに血めぐり初むる冬の夕暮れ(第一章)
- をんなにも妻にもあらず母として我が行く道を照らせ月影(第二章)
- とく絶ゆるさだめなればやこゝろから恋のかぎりの恋をしにけむ(第四章)
- パシフィコもビッグ、メッセも海風の吹き交はす場所 夢がちぎれる(第五章)
- ショートヘアにこだはってゐたあの比(ころ)は我れの女を舐めきってゐた(第五章)
- 哀しびをかなしぶことに疲れ果てひとをおもひてけふも暮らしつ(第八章)
こんな歌にもっと出会いたいと思われた方はぜひ、梶間和歌さんのウェブサイトからお問い合わせくださいませ。
彼女のブログも、古典和歌の解説や自作紹介など充実しています。
新刊・10分読書発売中
明日の自分が確実に変わる 10分読書(集英社)【サイン本+おまけ付き】 - BOOTH
YouTube・吉田裕子チャンネルにて和歌ラジオ配信中
国語講師・吉田裕子の公開講座
事前知識不要! どなたでもお気軽にご参加いただける講座です。※緊急事態宣言に伴い、休講となっている場合がありますので、スクールのサイト等で最新の情報をご確認願います。
- 毎日文化センター東京(竹橋)【古典の女流日記文学で読む女心】6~12月(8月除く)の第2水曜10:30-12:00
- 朝日カルチャーセンター新宿(東京)【ことばの作法 季語で味わう日本文化】2020年
5月9日(土)《8月1日(土)に変更》13:00~14:30 - 朝日カルチャーセンター通信講座【基礎からのビジネス文章術 前期】
- ひばりが丘カルチャーセンター(東京)【古典に読む女性の生き方】第2火曜10:15-11:45
- NHK学園 市川オープンスクール(千葉)【徒然エッセイ教室】第1火曜13:30-15:00
- NHK学園 市川オープンスクール(千葉)【もういちど、古典文学】第2・第4金曜13:15-15:15
- 吉田裕子主宰の古典愛読サークル「吉祥寺 古典を読む会」



