毎月、恒例の「吉祥寺古典を読む会」、11月は『俊寛』を取り上げました。

鹿ケ谷の陰謀に加わり、南海の孤島「鬼界ヶ島」に流されてしまった俊寛。ほかの2人の流人(少将成経、平判官康頼)はご赦免で、都に戻れることになったのに、彼だけは島に取り残されました。許されぬまま、島で亡くなったと見られています。

彼のエピソードはもともと『平家物語』に取り上げられているのですが、お能や歌舞伎にも加工されております。

平家女護島 俊寛/キングレコード
能楽名演集 能『俊寛』(しゅんかん) 能 『猩々乱』(しょうじょう みだれ) 観世流 観世寿夫.../NHKエンタープライズ

今回、前半は『平家物語』の本文や訳を用いて、俊寛伝説の原型を確認していきました。そして、後半で、お能や歌舞伎、さらには近代文学で描かれた俊寛まで読み比べました。

俊寛/菊池寛


俊寛/芥川龍之介

俊寛/倉田百三

この3作、劇作家 倉田百三が発表したのを機に、次々と発表されたものです。芥川龍之介の俊寛の冒頭には、先行する倉田・菊池の2作を踏まえた表現があります。

個人的には、菊池寛の描いた健康的な俊寛に惹かれます。怨念の渦巻く、倉田百三の俊寛。諦念と悟りでどこか飄々とした、芥川龍之介の俊寛。それぞれ好きな方もそれぞれいらっしゃることでしょう。

私は、こうして、ひとつのエピソードが各作者の解釈のもとに膨らんでいくプロセスを非常に興味深く思うのです。

皆様からのご感想も少しご紹介しますね!


ひとつの題材でいろいろ創作されているのは楽しいです。こうして基礎知識を解説していただいた後ですと、お能などの鑑賞にも挑戦できるかなと思いました。私的には、一番悟っているのは、菊池寛の俊寛ではないかと思いました。

読み比べしたのが面白かったです。倉田百三のものが好きです。

初めての参加です。なんの準備もなしに参加いたしましたが、とても解り易くて楽しい授業でした。また、お願いいたします。

「俊寛」という昔からの話を使って、作者たちが様々な人生観を表そうとしていたのだという気がします。歌舞伎のはエンターテインメント性が濃いのでしょうか。ところで、島流しになった身に自分がなったと考えると、ひとつの救いは、そこに人間(現地人)がいたことではないでしょうか。もし無人島で、誰もおらず、都に帰る見込みもなかったら、人は生きていけるでしょうか。ただ、動物のように、食べて生きるだけでは、人間である意味がなくなる気がします。

同じ俊寛でも皆違っていて、面白かったです。私は芥川の俊寛が一番人間らしいと思いました。事前に勉強したつもりでしたが、新鮮で、楽しい時間を過ごすことができました。


以上のご感想をお寄せくださった方以外にも、多数のご参加をいただきました。2年半ほどやってきて、最近は毎回20名前後の方にお越しいただけており、ありがたく受け止めております。


さて、12月は、和歌を取り上げます。

勅撰和歌集の変遷 『古今集』から『新古今集』の後まで
会場:御殿山コミュニティセンター
 (
東京都武蔵野市御殿山1-5-11
参加費:200円
持ち物:筆記用具


それ以降の日程は、以下の通りです。単発でのご参加も、継続でのご参加も、どちらも歓迎しておりますので、ぜひお運びくださいませ


1/24(日)14:00~『伊勢物語』二つの禁じられた恋
2/21(日)14:00~近松門左衛門の描く愛と義理『心中天網島』(=河庄)+新年会
3/13(日)14:00~自分の心と向き合う『紫式部日記』

なお、ご参加が初めての方は、
こちらからご一報いただけますと幸いです。

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こうしたテーマでの講演もお受けしております。これまで、公民館などで市民講座・シニア講座を担当させていただきました。

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