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5/11(日)に「吉祥寺 古典を読む会」の5月定例会を開催しましたニコニコ

今回のテーマは、

『おくのほそ道(奥の細道)』
「夏草や兵どもが夢のあと」の場面を読む

です。平泉で「夏草や……」と詠む場面は、この初夏の時期にぴったりの場面。
まずは、こちらのテキストの内容も引用しつつ、耳馴染みのある芭蕉の秀句を鑑賞。

長谷川さんによると、蕉風を確立した後の芭蕉の句は、実景と心象風景が二重うつしになっているものが多いといいます。

「古池やかはづ飛び込む水の音」も、耳に入った「かはづ飛び込む水の音」(実景)から、「古池」を連想した(心象風景)のではないかというわけです。


この補助線を加えると、「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」も、

(実景)岩にしみ入る蝉の声
(心象風景)閑かさや

と、分けて捉えることができます。

そう考えると、「蝉が鳴いていてうるさいはずなのに、どうして“閑か”なのか?」という疑問も解消することができますね。

(蝉の鳴き声が岩にしみ入るように感じられる、立石寺の自然の中で、芭蕉の心が閑かに澄み渡っていたということではないでしょうか?)



さて、本題の、平泉の場面。かつての栄華の地はすっかり草原に化していました。

ここまでの旅の中で、古歌のゆかりの景物が荒れ果てていたこともありました。それらは失望とともに眺められたかもしれませんが、この地に関していえば、荒れ果てていたこと自体が感慨深いことだったのではないでしょうか。

現在の平泉を見ながら、源義経と奥州藤原氏に思いを馳せるとともに、杜甫の漢詩「春望」も重ねてゆきます。

多くの人が死に、人為的な建物が滅びた、その跡地に、毎年、変わることなく植物は生えてゆくのです。

そうした重層的な感慨の中で紡がれたのが、「夏草や兵どもが夢のあと」なのですね。


奇しくも、6月の定例会は、『建礼門院右京大夫集』

筆者の仕えていた女主人は、壇ノ浦で入水した建礼門院(助かってしまったのちに出家)。恋人の男性は平家で、源平合戦の中で戦死しました。

平泉同様、源平合戦の動乱の中で滅び、失われたものがテーマになった作品です。


こちら、6月「吉祥寺 古典を読む会」参加者募集中です。初めての方、古典初心者の方も、お気軽にどうぞ。


この回は、ゲストスピーカーの梶間和歌さんから『新古今和歌集』のお話をいただく予定もあり、私自身も楽しみな回です。



★ホームページはこちら。著書(『正しい日本語の使い方』、『大人の文章術』、『源氏物語を知りたい』、『東大生の超勉強法』、『百人一首を知りたい』(枻出版社))でも情報を発信しております。隔週月曜13時に東急セミナーBE講座「古典文学Cafe」を担当する他、吉祥寺 古典を読む会も主宰(6月22日(日)『建礼門院右京大夫集』+『新古今和歌集』)。