スーパー広報術
■2003年創刊、読者数約12万人のメルマガ「スーパー広報術」に連載している
【吉田裕子の「想いの伝わる教育広報事例」】 より



オープンキャンパスの広がり


大学や高校・中学、NPOなど、
企業以上に広報の占める役割が大きい「教育機関」に注目し、
事例を取り上げながら、
「自分たちの想いが伝わり、長期的なファンが増える広報」
のポイントを探っていく連載の第6回です。


高校生に話を聞いていると、
夏休みの宿題として
「オープンキャンパスに○校以上参加してくること」
を課している学校も多いようです。


今では大学広報の要になった感のあるオープンキャンパスですが、
その歴史は意外に新しく、早い大学で1990年代。

上位大学でも広く実施されるようになったのは、
2000年代になってからです。


オープンキャンパス広がりの背景にあるもの



四年制大学の増加や交通機関の発達などを通じて、
生徒・保護者の選択肢は豊富になりました。
ただ、選択肢が多過ぎるがゆえに、
「吟味できない」「吟味することに疲れた」
という受験生・保護者も増えていました。

そうした生徒・保護者が、結局、
単純な「偏差値」「知名度」での大学選択に
落ち着いてしまうこともよくあります。

そのため、近年、中堅大学・地方大学では定員割れが起きる一方で、
難関大学では倍率10倍を超える戦いが繰り広げられる
「二極化」が続いています。


こうした事態を打開しようと、
まず中堅大学が取り組み始めたのが、
オープンキャンパスでした。

イベント性を高めて広く集客し、
体験授業や卒業生の姿、設備などを見せることで
生徒の感情を動かし、主観的な印象を志望につなげてもらう作戦です。


一方、後発の難関大学は、ミスマッチを防ぐと共に、
優秀生を囲い込むことを目的に開催しているようです。


この対照的な姿勢は、就職活動の
インターンシップに関する大手企業とベンチャー企業の
姿勢の違いに近いものがあります。


大学発のこんな企画も



オープンキャンパスの他にも、大学は、
中高生や保護者、そして社会人一般に開かれた企画を
多く発信するようになっています。

これは、研究や人材の輩出といった、
大学の本来の機能を活かした広報活動だと言えるでしょう。

多数の研究者や学生の集う大学は人材の宝庫です。
研究成果や学生の活動を教育・娯楽のための
文化コンテンツとして提供できれば、地域社会に貢献でき、
大学の魅力を伝える、本質的なブランディングとなります。


たとえば、立教大学は、豊島区や埼玉県などと共同で
講演会・研究発表会などを開催している他、
立教セカンドステージ大学という生涯学習の場を設けています。

青山学院大学も
「青学オープンカレッジ」
「相模原市・座間市共催市民大学」
として、地域住民向けの連続講座を多数開催しています。


学生の研究成果を広く一般に公開しているのが、
慶應義塾大学です。

湘南藤沢キャンパスの2学部は
「SFC Open Research Forum」
という研究発表イベントを行っており、
経済学部などのゼミも、
文化祭(三田祭)で論文をプレゼンテーションします。


独特で面白い試みとしては、
「明治大学シェイクスピアプロジェクト」があります。

文学部英米文学専攻などの学生が
現代風に翻訳したシェイクスピアを、
プロの指導のもと、演劇学専攻などの学生が演じます。

学部・学年横断型授業に端を発した企画で、
ここ3年は毎年3000人以上の観客を動員しているそうです。

(最新(2011年)の動画がこちらで公開されています)


まとめ



研究や教育という、大学の機能そのものを活かした広報活動は、
ファンを増やすブランディング効果のみならず、
地域貢献、学生のモチベーションアップ、
地域や企業とのコラボレーションの誕生など
様々な効果をもたらすことでしょう。

CSR(企業の社会的責任)という発想が定着しつつあります。

本業で培ってきたものを活かしながら、
直接的な顧客の枠をこえた幅広い人々を
巻き込んだ活動が何かできないか、
ぜひ検討してみてください。


  1. 規模や伝統で勝てないなら誠実な実態を詳しく見せる
  2. 本業を活かした社会貢献活動も1つの広報