働く女子の必読マンガ『サプリ』の最新刊(9巻)が出ていました♪


サプリ9 (Feelコミックス)/おかざき 真里



この巻の内容は…随分重かったですねぇ。。。
出勤前の電車で読んだら、
丸一日ずーっと、胸のどこかに引っ掛かり続けて、
もう一度、帰りの電車で読んでしまいました。


作品・作家によって程度の差こそあれ、マンガってどうしても、
登場人物のキャラクター設定が、
単純で平板だったり、面白おかしく非現実的だったりするものですが、
おかざきさんが切り取ってくる人物像は、恐ろしくリアルなんですよね。



例えば。

30過ぎで、フリーのコピーライターとして活躍する柚木は、
子供を遺して亡くなった妻の面影をどこかに引きずる映像演出家・コーエツと付き合っています。


そんな彼女は、お正月に田舎の実家に帰省しても、
毎回居心地が悪く、年々、滞在日数を減らしているんです。


「預金より利回りがいいですよ」と、不動産屋の口車に巧く乗せられて、
母屋の日当たりが悪くなるのも厭わずに裏庭に建てたアパートは何年も空室だらけ。
「建てなきゃ良かったね」と皆思っているけど誰も言えないし言いません。

期待した収入が得られず、お正月までパートに出る母は疲弊して愚痴だらけ。
とりわけ、専業主婦というポジションを享受している兄嫁が、
お金を渡しても、おせち料理をきちんと作らないことには、文句を言っています。


そんな実家で、彼女が一番、やり切れない気持ちになるのは、
可愛い孫が生まれたことによって、
母が、何だかんだ言いながら兄嫁を受け容れていて、
それを分かっている兄嫁が、自分の実家で横柄に振舞っている一方、
母が、東京で働き続けている自分には、
「コピーライトなんて、どうせ一生続けられる仕事じゃないんだから早く田舎に帰って来い」
「いつまでも女がひとりってわけにもいかないだろう」
という否定的なコメントしか発しないこと。。。



そんな、マンガではなかなか描かれないリアルな情景を、
マンガらしく、絵・構図・コマ割で魅せる、
おかざきさんの力量にいつも舌を巻くのです。。。




さて、毎度のコトながら、『サプリ』には印象的な台詞が多いので、メモ代わりに羅列しておきます。


「少子化対策…この歳ではじめて”問題児”扱い」

「”仕事をしている私”は”娘である私”と折り合いついてなくて
戦う娘たちは今日も孤独です」


「いつの間にか愛情はなくなって関係性だけが残ってる」

「私はただ納得したいだけなんです」

「死亡推定日の前日まで 元気に出社し 仕事をしていた」

「線を引く作業を続けていきます

それは生きていくための作業
こちら側に踏みとどまる運動
毎日を体に刻みつけて前進するための糧」


「死にたくないから私は薄情ですよ」


「バランスを崩しただけで”お終い”はやってくる
私達はそんな脆さの上に立っているのだと
見ないフリをしてきたものに気付かされてしまった」