助け、助けられ、変えていく | Infinite Connection

Infinite Connection

私たちINCONNEは“教育の充実から国の充実へ”をモットーにしている関西最大規模の学生ボランティア団体です。ラオス南部のノンテノイ村に幼稚園と小学校を建設、現在はそれらの教育プログラムの充実と中学校建設、医療支援や道路整備を並行して活動中です。



「この子、僕と同い年だね。病気なの?」

「早く治せるように、お薬飲んで頑張っているの。そのお手伝いをしてるの」

小さくても確実に、何かが変わり始めていた。





「エリン・ブロコビッチ」という映画を知っていますか?

有害な汚染物質を垂れ流し続けた大企業を相手に、健康被害を訴える住民たちを原告とし訴訟を起こした、主人公エリンの戦いのノンフィクション物語です。


私がこの映画について書きたいと思ったのは、この作品に、「共に創る」「関わる人の問題に全力で取り組む」「協力してくれる人の存在」など、
INCONNEにとって欠かせないものが溢れていると感じたからです。


INCONNEはボランティア、エリンは仕事。

共通するもので溢れている、というのは違うんじゃないだろうか。

そう思われるかもしれません。

しかし、エリンの、人への関わり方や想いには、ただ"仕事だから"という一言では片付けられないものがありました。


住民の家で一通りの説明を終えた弁護士のエドとエリン。

「コーヒーいる人!パンケーキも焼いているのよ」

という女性住民の言葉に、真っ先に手を挙げ、「手伝うわ」と言って立ち上がったエリンは、帰ろうとするエドを引き留めます。


この場の誰もが知っていたこと。


その地域の水には、癌を誘発する可能性のある6価クロムが含まれていること。


住民は、その水を毎日使っていること。


コーヒーには水を使うこと。


エリンはエドに言います。

「コーヒーは飲まなきゃ駄目」と。



どれだけ「あなたの力になる」と、

「あなたの味方だ」と

言ったって、あくまで他人じゃないか。

そんな冷めきった苛立ちを、誰かに向けたことはありませんか?


"あなたは健康、私は癌で未来があるかさえ分からない。"


所詮、他人事

なんて言葉で終わらせない。


そして何より、私を信じて欲しいと、覚悟と姿勢を見せるように、

コーヒーを欲しいと、真っ先に手を挙げた。

手伝う、と言って立ち上がった。

エドに、「コーヒーは飲まなきゃ駄目」だと言った。



それは、あなたに全力で関わるから大丈夫よという、エリンのメッセージでした。




そして、私が1番大好きなシーンがあります。


エリンと、息子マシューの会話です。


仕事ばかりで子どもを構わないエリンに対し、子ども達は一貫して反抗的な態度を取っていました。


そんなある日。

長男のマシューがエリンの集めた書類を読んで、エリンと会話するシーンがあります。


「この子、僕と同い年だね。病気なの?」


「お薬を飲んで治せるよう頑張っているの。」

「この子のお母さんは?」

「お母さんも病気なの。治せるようにお手伝いをしてるのよ」





エリンのその答えに、マシューは黙って書類を戻して、振り向いてこう言いました。



「朝ごはん買ってくるよ。卵でいい?」





そうやって、エリンを見る彼の瞳はいつもの反抗的な態度ではなく、とても優しいものでした。

彼らを助けるエリンを、応援し協力するよとその言葉で伝えていました。



最初はただ、お互いに主張をぶつけ合い、理解してもらえないことに苛立ちを感じていたエリンとマシュー。

けれど、少しずつマシューは変わってきてました。



母が、自分たちとの時間を犠牲にしてまで必死に向き合っているものはなんだろう、

そこにどんな理由があるんだろう、

どんな想いがあるんだろう。


どれだけ相手の立場を考えても、

完全に同じ場所に立つなんて、私は不可能だと思います。

分からないことなんて、理解できない気持ちだって、たくさんある。


だけど、その立場に少しでも近づこうとする努力が、


この映画にはたくさんあって、



誰かが誰かのために努力する姿に、協力しようともがく別の誰かもいて。









私はそんな団体に、INCONNEがなれたらいいなと思います。




最後まで読んでいただきありがとうございました。


同志社女子大学 3回生
広報部
上嶋 湖雪