これがルイ・ヴィトンのバッグのように、価格が高いのだけれどなぜか日本の一般大衆の女性がこぞって所有しているという状態なら、まだ我慢しやすかったかもしれない。

ところが三陽商会のバーバリーと英国のバーバリーは価格帯がちょっと違っていた。

 

私は英国製のバーバリーコートを一着、三陽商会製のバーバリーコートを二着もっているが、三陽商会製のコート二着を合計した金額の方が英国製一着よりも安かった。

しかし品質はというと、これはあくまで主観だが、三陽商会製のバーバリーのほうが私は満足している。

 

日本に中国などアジアからの観光客が増え、そこでは英国製のバーバリーよりも安く良い商品が手に入るとなると、これは困ったことである。

だからバーバリー は日本の百貨店チャネルにあれだけ強い三陽商会とのパートナーシップを切って、極論を言うと「日本市場の売上を失っても構わないからグローバルブランドの質を高める」考えを貫きたかったようだ。

 

 

さて、今回興味深いのはヤマザキナビスコを解消して独自で販売を始めるモンデリーズがどうなるかだ。

今回のケースは基本的にライセンス契約打ち切りで一番よくある事例で、「日本市場においてはもう十分なブランド浸透ができたので、日本のパートナー企業に流通を任せるよりも自分でやったほうがより利益にな る」と欧米企業が考えを変えるパターンに近いだろう。

 

ただ、これまでの一連の報道を見た限りでは、今回の契約解消はモンデリーズ側に計算違いがあったようだ。

ヤマザキビスケットはこれまでブランドとともに製造方法についてもライセンス契約を受けてきたため、同じ(酷似した)自社商品は作れない。

そこで、ライセ ンス契約を解消しても、製品の製造だけはヤマザキ側が今後も請け負ってくれるとモンデリーズは考えていたようだ。

そうしないとヤマザキ側で機械や工場の人員が余剰してしまう。

欧米流の計算でいえばそうなると踏んでいたのではないか。

 

ところがそれをヤマザキ側は断った。

結果としてオレオは中国の工場、リッツはインドネシアの工場で製造し日本に輸入することになる。

私の関心事としては、中国製になったオレオが日本市場で売れるかどうかだ。

 

さらにヤマザキビスケットはリッツの対抗商品として、八角形の新デザインのクラッカーであるルヴァンを発売する。

ここでどちらが日本市場の主導権をとるかも興味深い。

 

というのもリッツクラッカーは一流ホテルで行われるパーティで使われるカナッペ用など、家庭用ではない定番需要がそもそも大きい。

ブランド力よりも販売力 が重要な側面の大きい商品だ。

山崎製パンという日本最大の販売力を持つ企業グループへのライセンスを打ち切ったことで、欧米的な計算以上のダメージを受ける可能性があるのではないかと私は予想している。

 

勝負がつくのは23年後だと思うが、そのときに日本でクラッカーといえば円形が主流か、それとも八角形が主流になっているか?はたまた出戻りという形で、リッツとヤマザキが再接近するか、それとも結局たもとを分かったままか。

 

単純な損得計算からのパートナー解消は、思ったよりも計算とは違う結果が出るように私は思うのだが、この解消劇、このあとどうなるだろう。(鈴木貴博)