2018年9月上旬。仕事で、また日本橋本町方面に出かける用事がありまして、仕事帰りに、気になる所に足を運んでみました。
東京・日本橋、昭和通りに架かる江戸橋の南詰に、三菱倉庫さんのビルがあるんですよね。
昔ながら建物だったんですが、建て替えたようで、高層ビルになっていました。
三菱倉庫さんのビルに近づいて…
昔の建物を残して建て替えたようです。外装はキレイになっていますが…良かった♪
そのビルの1階に、「中央区まちかど資料館 三菱倉庫・江戸橋歴史展示ギャラリー」がありますので、見学して来ました。入館無料。
展示内容は、「水運のまちと歴史的建造物の物語」。
日本橋の東隣に架かる江戸橋と水運の歴史が分かるようになっています。
「倉庫業の始まり」
江戸時代の「蔵屋敷」は、諸藩が領地の産物を売りさばくために設けた販売機関としての倉庫業で、明治時代に入り営業倉庫として活用されました。
明治初期には、海運業と金融業との混合形態としての倉敷業が発展。保管業と倉庫賃貸業の2通りありました。
明治20年、金融機関や商取引機関への依存関係から脱却した倉庫業者が現れました。
三菱の倉庫業も、三菱為換店の「倉敷業務」として、郵便汽船三菱会社の「蔵預り業」として、混合経営されて来ましたが、明治20年、有限責任東京倉庫会社(大正7年3月に三菱倉庫株式会社に商号変更)設立され、独立の企業として経営されることになりました。
明治31年の旧商法の公布からは、倉庫保管業と倉庫賃貸業を区別するべきという考え方が一般的になりました。
「倉庫証券制度」
寄託物を譲渡、質入が倉庫証券により行われる制度で、明治32年施行の新商法で、倉庫証券に関して文言証券性、処分証券性、引渡証券性、引換証券性が明定されました。
倉庫証券は、太平洋戦争の自由経済時代には商取引の手段として売上上・信用上活用されましたが、戦時統制経済時代に入り、その用途は減少。
太平洋戦争後、倉庫証券の流通は次第に高まり、昭和26年にが流通比率が18.1%とピークに達しましたが、その後減少。主な原因は、倉庫証券の活用が商品取引所の商品取引での利用となり、対人信用が重視される銀行取引では担保に供されなくなってきたことです。
昭和31年(1956)と昭和46年(1971)の空撮写真。
模型もありました。
この模型の由緒書き「江戸橋の倉庫の始まり」。
この江戸橋際の場所は、江戸時代以来の河岸で、この一角に郵便汽船三菱会社が荷捌所を開設。三菱倉庫の倉庫事業の淵源となりました。
土蔵を含む建家を利用して業務を行ったと考えられ、当時の街並として再現したものです。使用年:明治9年(1876)~、模型縮尺:1/200。
その横には、三角屋根の倉庫が7つ並んでいる模型が…レンガ建物のようですね。
この模型は、「三菱の七ツ蔵」。
郵便汽船三菱会社により7棟の倉庫が建設され、三菱倉庫の前身である東京倉庫会社が明治23年(1890)から一部の使用を始めました。
倉庫業が、金融業、海運業との混合経営から独立した事業へ発展する時代の建物です。
竣工年:明治13年(1880)、設計:ジュール・レスカス(仏)、構造・規模:煉瓦造 地上2階、模型縮尺:1/200。
その隣には、おお~ビルの模型が!
このビルの模型は、「江戸橋倉庫ビル」。
関東大震災の教訓をいかして生まれた、当時最先端の近代的な都市倉庫建築で、帝都復興事業による周辺の道路環境が整備され、水陸両方の便を兼ね備えた交通至便の地となり、本邦初のトランクルームサービス発祥の場所ともなりました。
竣工年:昭和5年(1930)、構造・規模:鉄筋コンクリート造/地下1階地上6階・塔屋、主要用途:普通倉庫(雑貸倉・トランクルーム)、その他用途:貸事務室・商品陳列室、本店事務所、模型縮尺:1/200。
「江戸橋倉庫ビル」を反対側からも…カッコいいな~♪
その横には、高層ビルが…
こちらは、「日本橋ダイヤビルディング」
東日本大震災を経て、時代に求められる防災性能、環境保全、地域貢献の姿勢を打ち出した建物で、次代を見据えた街づくりの一環として、親水空間としても機能します。
竣工年:平成26年(2014)、構造・規模:高層部S造、低層階SRC造・一部RC造 地上18階 地下1階 中間階免震構造、主要用途:貸事務所、その他用途:普通倉庫(トランクルーム)、本店事務所、模型縮尺:1/200。
こ、これは!?「金庫扉」。旧江戸橋倉庫ビルのこの位置で当初から使われていたものです。頑丈そうな金庫扉ですね~そう簡単には、破れそうもない…(^^;
旧江戸橋倉庫ビルの図面も展示してあって…
旧江戸橋倉庫ビルの昔の写真もありました。
「楓川に面する東側」は、護岸と建物が一体となっている為、北側の日本橋川から東側の楓川にへ続く川筋の曲線が、建物東側の曲線となっていて、各階にホイスト出入口鉄扉が設けられ、川から倉庫内に直接荷揚げすることができます。
「物流設備:ホイップホイスト」
護岸から荷揚げして各階倉庫のホイスト出入口に着荷させるための荷役機械で、屋上東側に3箇所設置され、屋上にはホイスト出入口巻上機を納めるドーム型のウインチ室があり、正面にウインチ巻き上げ口と明り取りの小窓がついていました。
「日本橋川に面する北側」
川に面した北側1階には大きなアーチを持つ5つの搬出入口が連なり、6階には川からの荷揚げ、貨物の上げ下げを行うテルファーが配置されています。
「物流設備:テルファー」
2基のモノレールホイストを稼働させる荷役機械で、ホイストが走行する2本の「テルファー」が対称形に配置されていました。
旧江戸橋倉庫ビルの縮尺の大きい模型もありました。北側からじっくりと…
「兜橋、道路に面する南側」
1階は陸送による荷捌室への搬出入口、2階以上は倉庫となっていて、基本的な形は従来のデザインを踏襲、3階以上は、横長の高窓の両側に倉庫用換気口を配した標準的な形式の倉庫窓が整然と並んでいます。
「倉庫設備:トランクルーム」
地階の倉庫空間はトランクルーム、貸倉庫、保管倉庫の3種に用途が分かれていて、トランクルームは創建時から昭和43年まで地階のみに設置されていました。
トランクルーム内には専用のスチールラックが配架され、行季やトランクなど預かり品などを保管しました。
旧江戸橋倉庫ビルの南側を模型で…
「昭和通り面する西側」
最上階の塔屋は船のイメージに基づいた形態となっていて、正面玄関を挟んで左右に広がる石張りの壁は、重厚感と品格を与え、倉庫であることを感じさせないモダンな都市のイメージを表出しています。
「物流設備:スパイラルシュート」
5階から2階の各階に投入口があり、1階南側荷捌室に着荷する仕掛けとなっていました。
シュート角度は27.51度、投入口の開閉はワイヤで操作され、1階放出口は台車に載っており、荷の放出方向が調整されました。
現在の三菱倉庫さんのビル、日本橋ダイヤビルディング1階のロビー。金庫扉の前辺りから…
「中央区まちかど資料館 三菱倉庫・江戸橋歴史展示ギャラリー」の見学を終え、江戸橋の上から、日本橋ダイヤビルディングを眺めて…ホントに日本橋川に面していて、ここで荷揚げ・荷捌きが行われていたんですよね。
日本橋ダイヤビルディングを今一度…
この旧江戸橋倉庫ビル、よく前を通るので、以前撮影した写真も、実はありますので、アップしちゃいますね。
2010年3月に、江戸橋の上から…夕方でしたので、ピンボケですが…(汗)
そして、解体・建て替え工事の際も…写真は2012年7月のもの。
江戸橋の上から、江戸橋倉庫ビルを…工事用の囲いがされていて…
反対側に回ってみると…建物の外側を残して、内部を解体していました。
建物の外壁を残して、ビルを新しくしたのですね。
「中央区まちかど資料館 三菱倉庫・江戸橋歴史展示ギャラリー」。
三菱倉庫さんの歴史とその歴史的建造物のことがよく分かって、興味深い資料館でした(^^)
都内の歴史散策。まだまだ続きます。また別の場所になりますが…
その様子は、また後日。
中央区まちかど資料館 三菱倉庫・江戸橋歴史展示ギャラリー
東京都中央区日本橋1-19-1
https://chuoku-machikadotenjikan.jp/tenjikan/mitsubishisoko/
にほんブログ村 福岡(市)・博多情報
https://localkyushu.blogmura.com/fukuoka_town/ranking.html?p_cid=10197823
↑ランキング参加中!クリックして戴けますと、嬉しいです!
人気ブログランキング
https://blog.with2.net/in.php?819555
↑ランキング参加中!クリックして戴けますと、嬉しいです!
Trip-Partner [トリップパートナー]
ぷらたび